↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人化したら公爵に保護されました。ほんとは十歳の少女じゃなくて、黒竜に転生しちゃったギャルなんだけど  作者: 稲山 裕


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/38

三十 面倒な男

 バリアが出ないと死んじゃう~!


 全身覆うやつ!


 クソ猫の分も――!


 ――世界が薄青色になった。


 真っ白に、青をちょっとだけ混ぜたみたいな、青白い世界。


 後ろを振り返っても、近くにいたクソデカ猫も見えない。


 上も下も、どこを向いても青白い光に包まれてる。


 これって、レオナイル様の魔法の中?


 音は何もなくて、ノイズキャンセルのイヤホンしたみたいに静か。


 逆に不気味なんですけど?


 やば……これ、もしかして一瞬で死んだ?


 綺麗っちゃキレイけど、どうせ光の中に居るならさ、花火の真ん中にいてみたいよね。


 そんなの絶対ムリだけどさ。


 だってあれって、爆発してるんだもんね。


 ――って、また森が見えてきた。


 レオナイル様も、騎士さんたちもいる。後ろにはクソデカ猫も。


 てことは、生きてる?


 レオナイル様の魔法は、失敗だったってこと?


「無傷……だと?」


「レオナイル様! 魔法障壁です! それも、完璧な球形の!」


「ありえん……。どんな魔力をしている。そんな障壁、一秒も維持出来るわけが……」


 あ~、なるほど。あーしのバリアが成功してたんだ。


 よかったぁ。


「やはり撤退しましょう! 幼体とはいえ黒竜! しかもこれは、以前よりはるかに強くなっています!」


「おのれ……! 気まぐれに国を、大地を滅ぼす厄災め! 皆よ! 今この幼体のうちに倒しておかねば、我等が街も国も、全てを滅ぼされるぞ!」


「それは……そうですが」


「家族を守るのだろう! 市民を護るのだろう! ここで我等が踏ん張らずして、誰が街を守れるというのだ!」


「は、はい!」


 いやいや……なんか盛り上がってるけどさ。そんなことしないってば。


「これほどの障壁、長く維持できるはずがない! 総攻撃準備!」


「はっ! 総攻撃準備よし!」


「次の守りは任せろ! 撃てっ!」


 いや、ちょ、まだやるの?


 あーしのバリア解けないで~!


 騎士のみんなから、氷の槍と、炎の矢の雨。


 雨って言ってもさ、上からじゃなくて水平にビュンビュン飛んでくるやつ。


 それに、前に食らってビリビリ痛かった、剣の形した電撃のやつ!


 そんなのがいっぱい、これでもかってくらいに飛んで来る。


 けど……あーしに当たる前に、何の前触れもなく消えちゃうんだよね。


 あーしの思ってたバリアと、ちょっと感触が違うんだけど、でもそれが守ってくれてるみたい。


 おっきな透明の風船の中にいるみたいな、そんな感じ。


 薄くて割れちゃいそうで、だけど、その膜に当たった氷も炎も電撃の剣も、全部消えちゃう。


 ……あーしのバリア、もしかして無敵じゃん?


「き、効きません!」


「このままでは、次に我々が障壁を張る魔力が不足します!」


「ぬぅ……。ならば、お前達は引け! 俺が残る! 必ず倒してみせる!」


「それは出来ません!」


「いいや、ここで止めてみせる! 俺の巻き添えを食らいたくなければ、引け!」


「くっ……団長の、全力を出されると? しかも、エルフィオラ様の加護がある状態で?」


「そうだ、その意味が分かるだろう!」


「了解しました。我々は引きます。が、それでも討伐が難しい場合は、必ず撤退してください!」


 いや、滅茶苦茶盛り上がってるけどさ。


 もうやめようって、そう言いたいんだけど。


「ぎゃるるぅぅぅ!」


 ああもう、言葉が話せないのは何でなん!


「挑発的な咆哮だな! やろうと言っているらしい! 望むところだ、黒竜!」


 レオナイル様ぁ、違いますってぇぇぇ!


 や・め・よ・う・よ!


 って言ってんのおおおおおおお!


「ぎゃるるるるぉおおおおおお!」


「いくぞ!」


 あぁぁぁぁもう!


 ち~が~う~の~にぃぃ!


「我々は先に引きます! 御武運を!」


「おう!」


 だぁぁぁぁ!


 って、馬から降りて突進してきたあああ!


 でもそんな剣じゃ、あーしの鱗には効かないってば。


 そもそもまだ、バリアがあるのに。


 ――って、え?


「火竜の加護を見るがいい! 出でよ、業火の刃!」


 はあああああ?


 剣に炎が巻きついて――めっさ伸びてるんだけど!


 たぶんだけど十メートル以上ある。


 そりゃそんなの振り回したら、仲間も巻き込んじゃうよ。


 だから逃がしたんだ。


「食らえ!」


 いやいやいや!


 火炎放射みたいな剣、ぶん回すのやめてえぇ!


 ――あっ。


 今、バリ、っていった。


 それに、炎の剣の先っぽが、バリアの内側にちょっと入ってきてる。


 どうしよ? 逃げちゃう?


「やはり、強度が落ちているらしいな!」


 レオナイル様のアホ~!


 って、めった打ちにしてくるじゃん――


 ぎゃー! バリアがバリバリいってる!


 割れちゃう、あーしのバリアが割れちゃう!


 何回かに一回はバリアの中に入ってるぅ!


「ぬおおおおおお! ヴォルカニックランス!」


 え? それは詠唱いらないん?


 剣がバリアに入った瞬間を狙ってたんだ。


 ――青白い、細い槍がバリアの中からぶっ飛んできた。


 反則っしょ!


 なんとなく、ギリ、目で追えたから避けたけど!


 竜の長めの首じゃなきゃ、ちゃんと避けきれなくて頭吹っ飛んでたやつ。


 もおおおおお!


「ぎゃるうううぅおおおおお!」


 この戦闘狂め!


 あーしが逃げたらまた、騎士のみんなを引き連れてやってくる気でしょ?


 レオナイル様なら絶対そうすると思う。


 もしもクソデカ猫がここに居座るって言ったら、殺されちゃうかもしんない。


 それだと、あーしがイヤなんだよね。


 あ~あ。もう怒ったから。


 とりあえず、あーしのネイル、解いちゃうからね。


 ――ネイル解除。


 あっ! 高い方のネイルはそのままにしとこうと思ったのに!


 ウルトラマリンのネイルが……取れて落ちちゃった?


 いや、よく見たら手袋と手の鎧着けてる。


 ワンチャン、中にあるはず――。


「なっ……力が! まさか、補助魔法に気付かれただと?」


 焦ってる焦ってる。


 ふふふふ。


「エルフィオラしか知らぬはずが……なぜ貴様に見抜ける!」


 ぴゃっ?


 や、ヤバイばれた?


 えっと……え~っと……。


 どうしよ何も思いつかない。


「ぎゃるぅぅ」


「……ふん。黒竜にしてみれば、補助魔法を検知するなどお手の物ということか」


 あっ…………そう。


 そうそう、そういう感じでお願いします。


「補助ありきでこの力量差か……いいだろう。殺せ。あれほど見栄を切ったのだがな」


 いやいや、だから殺したりしないってば。


 それにレオナイル様が死んじゃったら、お屋敷のみんなが悲しむでしょ?


 街の統治もどうすんのさぁ。


 まったくもう。


「ぎゃるるぅぅぅるるるるる」


 もう帰ってよ。お願いだから。


「……殺す気がないだと? 随分と見下してくれる。その価値もない、か」


 はぁ……。大人げないだけじゃなくて、割とめんどくさいんですけど。


 どうしたら帰ってくれるのさ。馬も無事だよ?


 馬ちゃんが一番危なかったのは、レオナイル様が振り回してた炎の剣だったけどね。


 ちゃんと、一応バリアかけといたんだから。


「くそっ。今は恥を忍んで撤退するが、逃げるわけではないからな!」


 はいはい、そんなの気にしませんってば。


 それよりそういう、悔しそうな顔見てるとちょっと、胸がキュンとしちゃう。


 かわいいとこあるじゃん?


「黒竜め。その気まぐれ、いつか後悔することに――」


〈面倒な男ね〉


 あ、クソ猫のこと忘れてた。


 振り返ったら、めっちゃ近くまで寄ってきてた。


 あーしの真後ろに居るのに、足音ぜんぜんしないんだもん。


〈いやー、なんかね。早く帰ってほしいんだけど〉


〈こうすればいいでしょうに〉


 うん?


「なっ、なんだこれは!」


 クソ猫がしてるのか、レオナイル様がふわ~っと宙に浮いて、そのまま離れたとこに居る馬さんに乗せられた。


〈なにそれ!〉


〈念話が出来るのに、念動を知らないの?〉


〈えー! 超能力じゃん!〉


〈チョウノウリョク?〉


〈なんでそこは噛み合わないのさ……〉


「白の雷帝に、黒竜が手を組んだか。この森に一体、何が起きている」


 いいから早く帰ってってば。


〈馬の尻でも叩いてやるわ〉


 クソデカ猫がそう言ったら、馬がヒン、って鳴いて街の方に逃げていった。


 はぁぁ……。


 終わったぁ。


〈お前には借りが出来たな。小娘〉


〈最初に会った時もさ、あーしのこと小娘って言ってた?〉


 それなら、あーし、自分の性別にそこで気付けてたはずなんだけどなぁ。


〈そんな些末なこと、覚えているわけないだろう〉


 ですよね~。


〈あっ。ところでさあ、相談があるんだけど〉


〈断る〉


 まだ何も言ってないのに!


 こんのクソデカ猫……。


 なんか、あーしの頭の上にでっかいモフあご、乗せてきてるんですけどぉ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
評価をいただけると励みになります。よろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。