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人化したら公爵に保護されました。ほんとは十歳の少女じゃなくて、黒竜に転生しちゃったギャルなんだけど  作者: 稲山 裕


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二十五 雲行きがあやしい

 森に出陣する前に、編成される騎士さんたちにネイルをすることになった。


 森の主の縄張りに入る前って聞いてたのに、どうやら二回するみたい。それは、騎士さんがパワーアップした自分自身に慣れるためらしい。


 必要とされるのは嬉しいけど、あの猫を倒すためってのが、ねぇ。


 でも、あーしが阻止してみせるし。


 あと、チュンたちに会えるかなっていう楽しみもある。けど、人間が近付いたら逃げちゃうよねきっと。


 他にあーしが考えておくことは、作戦を忘れないようにいっぱいイメージしておくこと。


 それくらいで、出陣を待つばかり!




 出陣の日の朝は、マリアンにナイショでベッドシーツを一枚、荷物に持って来たんだ。


 なんでかって、クソデカ猫が人化した時にハダカだろうからね。


 あとは普段使ってるマクラと、ネイルの道具。


 実は、レオナイル様専用の超高価なネイル素材も入ってる。


 まさかさ、石も試せとか言って、ウルトラマリンを用意すると思わないじゃん。


 使う時、絶対手ぇ震えるやつ。


 絵具はあるって聞いてたけど、人に塗ったら荒れちゃうのばっかりだから諦めてたのに、ほんとまさかじゃん?


 ネイルの勉強になるかなって、ウルトラマリンの製法を聞いてみたんだけど……あーしには作るの無理。熱したりすり潰したり、工程がエグ過ぎた。こんなの買ってもらうしかない。


 ちなみに、青色でネイルしたらめちゃ堅くなったんだって。物理的にも魔法に対しても。


 どんな試し方したんだろうね。想像したくないよね。


 赤色は花びらでしてるんだから、青色も青い花で試せばいいのに。


 って思ってたら、レオナイル様は指名した騎士さんの何人かには、花びらで青色も付けさせてた。


 ……あーしのネイルの効果って、赤が出力アップで、青が防御的に強くなるみたい。


 これさ、絶対にあーしのイメージがそのまま反映されてるんだと思う。


 色無しでもやってみたら、何も効果が無かったんだって。


 あーしとしては、トップコートだしキレイなままで、そのままでいてね。って想いがあるわけだから、清潔なままでいられる、とかの効果がありそうなのにな~。


 ともかくそんなことだから、あーしの荷物はずっと自分で持つ。


 ちな、服は皆みたいなカッコいい隊服じゃなくて、訓練服だった。


 なんで?


 爪しか盛れないの、まじテンション下がるんだけど。


 騎士さんたちは、鎧に武器に、盾とかの装備の他にマント、食料も水も馬に積んで、結構な荷物だった。


 だから途中までは、荷運び係も同行するんだって。そのくらい、かなり大げさなことになってる。


 やんややんやと、それぞれの馬さんに荷積みが終わるまであーしはボ~っと待って、ようやく出発。だって、手伝うにも邪魔になっちゃうしね。




「エルフィオラの加護があるからと油断するなよ! では森の主討伐、出陣!」


 レオナイル様が檄を飛ばすとこ、初めて見た。


 なんか前口上とかするのかなーって思ったけど、意外とアッサリだった。


 先行する騎士さん二人の後にレオナイル様。その後ろに二列になって、ズラーっと出陣が始まった感じ。


 森の入り口は木がまばらで、日が差してるところも多めだからか、今から皆でピクニックにでも行くみたい。


 けど最初に森で会った時みたいに、全員馬に乗ってるから結構な行列。


 あーしはレオナイル様から離れて後ろの方で、隣に女の騎士さんが並んでる。


 甲冑姿でも、兜を外してたら茶髪美人さんだから、こんなムサい集団の中だとかなり浮いて見えちゃう。


「エルフィオラ様。この旅ではずっとお側でお守りいたしますから。私の側から離れないように気をつけてくださいね」


「ありがとう」


 その、あなたもね。って言葉が出そうになったけどやめた。


 それよりも……まさかと思うけど、トイレ作戦について来ちゃったりしないよね?


 恥ずかしいからダメって言って、撒けるよね?


 なんか、こんなことになると思わなかったから緊張してきたかも。


 それに、人数も多いし。


 全部で五十人近く居る気がする。


 途中であーしが帰るのに数人が付くとして、そんで荷運びさんも帰るとしたら……四十人くらいは残って戦うのかな。


 あの猫、そんなに強いんだ……。


 あーしが強くなったら、リベンジしようと思ってたのに。それだといつになったんだろね。


「エルフィオラお嬢様。ロイです。あの時、俺にネイルをしてくださってありがとうございます! そのお陰で、新米なのにこうして討伐隊メンバーに入れてもらえました!」


 後ろから列を無視して、わざわざお礼を言うために上がってきたみたい。


「ロイくん! 気にしないで! それより、無茶して怪我したりしないでね」


「はい! そのありがたいお言葉のお陰で、もう大丈夫だと思います!」


 待って、そういうの死亡フラグって言うから。


「そういうのあんまり――って、もう列に戻ってっちゃった」


 えー、どうしよ。死んだりしないよね?


 あーしのネイルしてるもんね?


 ……なんていうか、しょっぱなから予定がさ。ちょっと違うっていうか。


 フラグも立ててったしなぁ、もう……。

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