二十四 大作戦を考えた
教会に行った日から、あーしはかなり本気でネイルの練習をした。
公爵家の盾に竜の紋章もそこそこ早く描けるようになったし、魔法の液体を魔力で出すのも固めるのも、だいぶと慣れて早くなった。
これなら、お店開くのも夢じゃないかも?
でも、まだまだレパートリーは少ないし、今使える色が花びらだけっていうのもね。
これは、インクの材料を調べてもらって、体に安全なものだけに限定したらほとんど残んなかったから。
それから、貴族教育に対する向き合い方も変わった。
これまでは、どこか甘えてる部分は、やっぱりあったと思う。そんな腑抜けたことはやめにして、ガチのマジで取り組んだ。
……まだ二週間くらいだけど。
その二週間で、レオナイル様はいろいろとしてたみたいで。
あーしがネイルしたロイ君を使って、その効果をより詳しく調べたらしい。
そしたら結果としては……近々、森の主を倒す、って話になったみたい。
あーしは「へー、そ~なんだ~」くらいに聞き流してたら、その森の主ってさ、あのクソデカ猫だったんだよ。それをちゃんと知ったのは数日前。
あいつとは一回戦っただけだけどさ、あの時、手加減されてたって分かってた。
クソデカ猫が本気ならあの時にあーしは殺されてたし、逃げることも出来なかった。
見逃してくれた理由は知らないけど、それも聞きたいし、あーしのネイルのせいで猫が負けるとか普通に嫌だし。負けイコール殺されちゃうんだろうし。
だからもちろんレオナイル様に即、直談判!
でも、ダメだった。
何なら、あーしも同行するみたい。
森の主の居る場所の近くまで。
そこであーしが騎士のみんなにネイルして、それで強くしてから挑むんだってさ。
普通なら絶対に勝てないから、諦めてたらしいんだけど。あーしのせいでクソデカ猫がピンチに……。
そんなのほっとけないから、あーしも速攻で参加するって言ったよね。
ちなみに、直前でネイルしたら、あーしは危ないからってここに帰されるみたい。護衛の騎士さんを何人か付けて。
でもさ、その人たちが実は悪くて、あーしを襲ったらどうするんだろね?
マリアンもユリーシアも呼ばれてないくらい危ないみたいだから、なおさらそうなったら、あーしは大ピンチだよね。
……その時は、竜に戻ってやっつけるけど。
ただ、それとは別に、今回はどっちにしても竜に戻る。
クソデカ猫を守るために、あーしが考えて考えた作戦がこれ。
『トイレに行くって言ってこっそり逃げ出したら、竜に戻ってクソ猫を守りにいく大作戦!』
完璧すぎん?
あーし、我ながらこれは絶対成功するっしょ? って思ってる。
だって、レオナイル様に連れられて帰されるならともかく、普通の騎士さんでしょ?
トイレに行きたいって言ったら、ちょっと離れても不自然じゃないし、目の届かないところに行けるじゃんね。
レオナイル様だと、知らん、とか言って側でトイレさせるだろうけど……。その時は詰みだと思う。
……正体がバレても、クソ猫を守りにいく。
あいつとは、友達になれる気がしてるんだよね。
ていうか、一回ケンカしたらもうそれって友達じゃん?
だから守る。
手加減されたせいで、ず~っとモヤモヤしてるしさ。
でも命あってのモノダネだから、感謝もしてるし。
あーしの一世一代の、大勝負ってやつ。
絶対に、ちゃんと友達になるんだ。
それにさ、あいつに人化の術を使わせて、一緒に暮らせば楽しそうだし。
レオナイル様が探すって言ってた、戦える侍女?
それになってもらうんだ。
あいつは嫌がるかもだけど、説得する。
だって、そうなった方があーしが楽しいから。
……いつかあーしの戦えるネイルが流行しちゃったら、あいつの居場所、なくなっちゃうだろうし。
だからこの作戦、なんとしてでも成功させるんだ。




