リーグ最終節(対ワラビーズ戦) その3
前半を0-1で終えると、控室でクラップ監督の激が跳ぶ。
「僕達はここまで来たのだ。後はもう、自分達の力を信じて突き進もう。世界中のサッカーファンが注目するこの場に立っているだけで、僕たちは既に勝者なのだから!!」
「オオオォォォォー!!」
相変わらず、クラップさんは選手を乗せるのが上手い。
チームのみんなはもちろん、優勝争いのシティーが1点のビハインドを追っているのは知っている。
ここまで来たら、後はもう、自分達を信じて、自分達のサッカーをするだけなのだ。
「それでね、司……」と、クラップさんはいきなり司と二人っきりでお話を始めた。
あれ……もしもし、
――五分後、
「んで、クラップさんはなんて?」
「ああ、後半の20分を目途にお前を入れる。そんでもって、サルーさんも使うってさ」
「マジすか?」
「ああ」
「怪我、大丈夫なの?」
「メディカルからは思ったよりも軽傷だったらしい。だが、サルーさんが入るまでにはゲーム展開は楽にしときたいな」そう言うと、司の目がキラーンと光った。
「おやっ、なんか勝算が?」
「まあ、ちょっとな」そう言うと、司はニヤリと笑った。
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ワラビーズのキックオフで後半が始まった。
それと同時に一気にプレスを掛ける我が軍。
ワラビーズはDFラインで何とかボールを回すも、最後は「こりゃ、たまらん」と言った感じで、ボールの所有権を手放すかのようにGKのサティが大きく蹴り出してリバプールボールとなる。
そこからリバプールの右サイド、TAAを中心とした攻撃でワラビーズを攻め立てる。
おいおいおい、そんなに前掛で大丈夫なんかい?前半の二の舞とかごめんだぜ?
だが、そこは我らが上司の司さん。
しっかりとDFラインを修正して、ワラビーズのFW二枚、ヒメナスとネルトにしっかりとマークを付ける。
なるほど、ヒメナスには拓郎が、そしてネルトには司が直々にマークに付くって訳かい。
そうなってくると、圧倒的に火力に勝る我が軍。
TAAの高速クロスに警戒して、DFラインを下げると、マネラさん、ジョコちゃん、デービスの新フロント3がアタッキングサードで大暴れ。
こりゃたまらんと、三人にマークを付けると、今度は二列目からTAAが高速クロスを入れて来る。
そうなってくると、ヒメナスとネルトの前の二枚もDFに戻らざる得なくなり、気が付くと、ワラビーズをゴール前に押し込めて一方的なゲーム展開となる。
すると、思ったよりも早く、後半の8分、ワラビーズのDFラインが決壊した。
TAAがボールを持った瞬間、DFの裏を取るジョコちゃんとマネラさん。
それに合わせてラインを上げるワラビーズDF陣。
直後、ワラビーズのDFラインとGKのサティの間に針の穴を通すようなコントロールでグラウンダーのクロスを入れるTAA。
ワラビーズの3CBが揃って手を上げ審判にオフサイドをアピール。
そこだけ見れば、完璧なまでのワラビーズのオフサイドトラップ。
流石、プレミア一、残留力(※1)があるチームと言われているだけはある。
こういうプレーに関していえば、ワールドクラスだ。
だが、マネラさんもジョコちゃんもゴールに背を向け、こっちも主審に「プレーには関与してないよ」のアピール。
そして、ワラビーズにとっては時すでに遅し。
既にその時、偽サイドバックの司が、DFラインの大外から死角を突いてゴール前に飛び出していた……
後は難なく、左足のインサイドでTAAからのクロスをワラビーズゴールに流し込む。
SB to SBでのフィニッシュ。
なんかちょっと、お株を奪われたようで悔しいがまあヨシ!
EPL 第36節 リバプールSC vs ウルフバーハンプト ワラビーズSCとの試合は、後半8分、北里司のゴールにより、1-1となる。
※1、残留力=リーグ戦終盤における残留争いで、ブーストが掛かったように一部に残留する力。Jでは大宮ミーヤが毎年のように絶体絶命の状況からのうっちゃりでJ1に残留し続けたことで有名。過去には我がSC東京もその残留力の被害者に……
尚、その『絶対落ちない残留力』から、クラブグッズとしての受験生のお守りを販売し大変人気を博したことも、今は昔…………




