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フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第十一章 飛躍のリバプール2年目編

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FA杯決勝 その7

 直後、交代のボードが掲げられる。


『26番 (ロバートさん)OUT 25番(司)IN』


 何の事はない、さっさと当初のプラン通りハーフタイムで左右のSBを交代しとけばよかったのだ。


 その前提でロバートさんも前半からフルスロットだったのだから……


 だが、そんなことは言い訳にはならず、司が鬼ような顔……いや、なまはげのような顔でピッチの中に入って来た。(泣ぐ子はいねがぁ!!)


 その途端、緊張感走りまくりのリバプールの仲間達。


「ごめんなさい。ごめんなさい。


 お願いですから殴らないで下さい。


 8万4千人の観客の前ですよ!!


 殴るのなら家に帰ってからにしてー!!」


 と、心の中で哀願すると、司は俺の事なんか見向きもせずさっさと自分のポジションに行ってしまった。ふーやれやれ。


 ただし、俺の前を通る際に「だからテメーは頼りになんねーんだよ」と捨てゼリフを吐くのは忘れない。あー、命拾いした。(クソが!)


 すると、司はポジションに付くなり腕を大きく掲げて指を三本、そして、「スリーバック、スリーバック」とみんなに声を掛ける。


 テクニカルエリアを見ると、クラップ監督も同じく指を三本立てていた。


 チェルシーが3バックでウチに当たって来る兼ね合いから、今みたいに前掛になるとアロンヌとジェイミーの両WBがフォワードとなり5トップとなるため、4バックのウチ(リバプール)はどうしても人数が足りなくなってしまうのだ。


 今は徹底守備に舵を切る時。


 すかさず、司が最終ラインに入り優斗がWBに下がり3-4-3となるリバプール。


 チェルシーと同じフォーメーションになりミラーゲームに持ち込むのだ。


 これがウチ(リバプール)が最近手に入れたオプションの一つ。


 司を3CBの左に据えて、マンツーマンで相手チームを抑えに行く。


 いかに攻撃的なリバプールと言えども、試合中ずーっと高強度(ハイインテンシティー)で戦えられるという訳ではなく、必ず相手に支配される時間帯というものが存在する。


 近年のリバプールの課題というと、その時間帯おける失点だったが、今シーズン、司が左のCBに入り、3CB(スリーバック)制を採用することによりその失点を激減することができたのだ。


 今シーズンのウチ(リバプール)の飛躍は北里司の戦術抜きに語る事は出来ない。


 やはり大局的にゲームを見る能力というのが極めて突出している。


 クラップさんが司を頼りにするのも分かるというものだ。まあ、最近だと、代表の森さんもだけど……


 ちなみに優斗はここ最近、司にWBとしても鍛えられている。そんな訳で優斗が左のWBに入り替わりにケンタを上げて左のWとなる。(まあ、やることは前線からのプレスだけれど……)


 (3CB時のリバプール)


挿絵(By みてみん)



 そうして、チェルシーのFKで試合再開。


 すると一発目のプレーであっさりとチェルシーをオフサイドトラップに引っ掛ける司。


 おみそれしました上司。


「チェルシーがキックオフ直後、前掛になるのは前半見てりゃあ分かんだろうが!!ったく、学習能力が無い!!」といつものお説教モードに入る司。


 まあ、俺や拓郎は慣れてますけど、ダンク師匠にも同じ感じですか?


 まあ、後半早々結構やらかしてましたからね、ダンク師匠も…… 


 さあ、切り替えてこ!!


 すると、チェルシーにボールを支配されつつも、決定的なチャンスを与えることなく、ゲームは淡々と進んでいく。


 司はこまめにDFラインを上げ下げし、俺と優斗はボールを追いかけ回す。


 人それぞれ、適材適所って奴だ。


 ダンク師匠も司のラインコントロールには一目置いている。


 拓郎も小学校の頃からの仲間が同じDFラインにいるのだから安心感があるのだろう。


 後半開始直後の混乱から立ち直るとそれに伴い、拓郎の武器でもある、前に出てのディフェンスに切れ味が増してきた。


 チェルシーがボールを持ちリバプールが守る。


 前半と真逆の展開だが、攻撃に行き詰まるようになってきたチェルシー。


 実質、ゲームを支配しているのはウチ(リバプール)だ。


 ならば、俺だって負けてはならない。


 俺が戦うべき相手、それはEPLイングランド・プレミアリーグで初めて出会ったライバルとも言える存在。チェルシーSCの左WB、スペイン代表、マルコ・アロンヌだ!!


 無尽蔵のスタミナ、最後尾から最前線、どこにでも顔を出すプレーエリアの広さ、そしてファンタジーの欠片も無いゴリゴリのプレースタイル。もう、どこを取っても共感性しかありませんぞ!!


 チェルシーとの第1戦も、第2戦もそして第3戦のカバラオカップの決勝でも、ゴリゴリガリガリ、ゴリゴリガリガリ、時間が許す限り一対一(デュエル)を繰り広げてきた俺達。


 司からは「その見てる方が疲れて来る泥仕合。どうせ90分でも決着がつかねーんだから、止めてくんねーかな?」と言われる始末。


 なんですとー!!


 この戦いは俺のフットボーラーとしてのアイデンティティーでもあるのだ。


 誰にも邪魔させない。というか、邪魔する気すら起きないみたい。


 そんな感じで、右サイドのタッチライン際をガリガリゴリゴリ、ガリガリゴリゴリ。


「あいかわらず、やるなーお前」


「いや、アロンヌさんだって負けてませんね」


 そんな心の会話が通じ合う様な気がする後半戦。みなさんいかがお過ごしでしょうか?


 母さん、僕は元気です。


 ガリガリゴリゴリ、ガリガリゴリゴリ……時間を忘れてアロンヌとのデュエルを繰り広げる。


 でも、なんだか、僕達二人だけ、蚊帳の外に置かれているような気がするのはなーぜなーぜ……

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