表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第十一章 飛躍のリバプール2年目編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

893/910

FA杯決勝 その6

「やはり、シーズン終盤のこの時期になると、ウチ(リバプール)もチェルシーも選手の疲労度が目に付くよなー。モーさんの負傷退場もそうだったし……」


「まぁ、チェルシーだってリーグ戦から、中二日で来てるんだから、弱音は言ってらんないわな」と控室に戻りながら司。


「そう考えると、中三日で丸一日余裕があったウチ(リバプール)の方がまだマシってわけか……」


 リバプールは4日前(火曜)にアストン・ベラと、そしてチェルシーは3日前(水曜日)にレーズと戦い、共に勝利してここ(ウェンブリー)に来ている。



 --------------------⚽⚽⚽--------------------



 控室に入るや否や、クラップ監督から呼び出され、後半の頭から俺が行くことを言い渡された。


 やはり、怪我明けのTAA(アレックス)には無理をさせない方針か。


「えーっと、司はどうしますか?」俺はそう言って司の方を見る。


「もう少し、様子を見る」と眉間にしわを寄せてクラップさん。


 確かに、優斗がどこまで行けるか分からんし、モーさんの怪我でゲームプランが狂ってしまったこともある。


 その後はマークの受け渡しやカバーの確認など、司と一緒にDF陣で話し合っているうちにあっという間に時間が過ぎていく。 


 予想よりもゲームのインテンシティーが低かったため、優斗もまだまだいけそうだ。


 リーグ戦とは違い、この試合はカップ戦の為、交代人数は最大5人まで(※8)となっているが、(延長戦に入れば+1名)このままいけば120分の長丁場、そう簡単に交代のカードは切れないのも分かる。


 ロバートさんもまだまだ走れそうだし……



 --------------------⚽⚽⚽--------------------



 そんなこんなで、あっという間にハーフタイムが終わりピッチに戻ると、まだスタンドの一部は日が射していた。


 時計を見ると夜の7時を回ったところ。緯度の高いロンドンでは日没までまだ時間があるのだ。


 スタジアムでは観客を煽るかのように大音量の音楽が流れている。


 たった15分間だけのお預けだったが、待ち焦がれたフットボールに再び出会えるとサポーター達のテンションはクライマックス。


 つくづくこの国はフットボールと共に歩んでいるのだと肌身に伝わって来る。


 リバプールはTAA(アレックス)に替わって俺が右SBに入る。


 一方のチェルシーはというと……特にメンバー交代は無いみたいだ。



 FA杯決勝、リバプールSCvsチェルシーSC、後半はリバプールのキックオフから。


 マネラさんから拓郎にボールを戻すと一気に前線にフィード。


 相変わらずこいつのフィードはいつ見ても軌道が綺麗だ。それだけは俺がこいつをリスペクトしている数少ない長所の一つ。(えっ、それだけ?)


 何度かボールが行き来するうちに、ウチ(リバプール)のボールとなり、ケンタの落としをTAA(アレックス)よろしく俺がダイレクトにマネラさんに入れるも、相手ゴール前でトレバー相手にお洒落トラップを仕掛けるもあっさりロスト。


 ちょっ、マネラさん、軽いってー!!


 チェルシーの8番のバチッチに回収されると、5番のジョージ、10番のプリッチへとつながる。


 しかも間が悪い事に、マネラさんを信用しきって上がっていたロバートさんの裏を相手19番、マウニーが走り込んでいたのだ。


 一瞬でピンチに陥るリバプール。


 すると、10番のプリッチがドフリーのマウニーにスルーパス。


 しかし、そこはダンク師匠と拓郎が機転を効かしてラインを上げオフサイドトラップをかける。


 もちろん私もラインは揃えましたぞ。(エッヘン!)


 ふーやれやれ……と思ったのもつかの間。


 なんと、ボールを追っかけていたマウニーがジョグをし始めたのだ。


 なん……だと?


 もちろんボールに触れる前にプレーを止めたのだからオフサイドには当たらない。


 すると、さらにその大外から一陣の黄色い風が……なんと、マウニーにパスを出したプリッチが自分で出したスルーパスに反応して自分で回収しに行きやがったのだ!!


 掟破りの一人スルーパス。俺だってそんなことやんねーぞ……(確か、プロ一年目の宮野涼君や、レジェンド、野人岡野さんがやったっけな)


 予想外のプレーに対応が遅れてしまったダンク師匠とリバプールのDF陣。


 一瞬、ゲームが切れたかと思い集中を切らしてしまったのだ。


 状況をよく吞み込めないまま、ゴール前、プリッチにフリーでクロスを上げられる。


 予想外のプレーに虚を突かれた俺。やべー、完璧に対応が遅れた。


 すると、俺の背後にちゃっかり居やがったアロンヌがボールを納める。


 俺はせめてもの抵抗としてゴール前を締めて角度の無い外側に誘導する。


 アロンヌはそこから左足を一閃。


 アリソンさん頼んます!!


 だが幸いなことに、角度の無いところから打ったアロンヌのシュートは枠を捉えきれず。僅かボール一つ分ポストの外側に逸れいった。


 あっぶな……あっぶなー!!


 ふぅー、命拾いしたー、ヤレヤレだぜ。


 なんとかウチ(リバプール)のボールとなり、アリソンさんのゴールキックからリスタート


 ここは一旦、ボールを落ち着かせて……と思いつつも俺達DF陣の混乱がチーム全体に広がっていたのか?


 直後、アリソンさんのゴールキックがマネラさんの足元に入った瞬間、チェルシーの8番、バチッチが激しいチャージをする。


 マネラさんはボールを納めることが出来ず。立て続けに決定的なロスト2つ!!狙われてるのか!?


 するとこぼれたボールをアロンヌが回収し、ゴール前で張っていたロカク師匠に入ると背後から走って来たプリッチに通った。


 ゴール前で敵にボールを奪われるという最悪の展開。


 それは俺達の十八番のはず……


 やられたっ!!


 瞬きする間も無い内にチェルシーに決定的なチャンスが再び訪れる。


 だが、今度はアリソンさんが横っ飛びでパンチング。セレソンの1stGKの神セーブが発動。


 しゅごぉぉーい!!


 しかし、必死でパンチングで逃げるもセカンドボールをチェルシーに拾われゲームが切れない。


 やばい、やっばーい、超ピンチ!!


 完全にイケイケのチェルシー。この流れで絶対に点を取り切ってやるという覚悟がビシバシ伝わって来る。


 GKを除く全員がリバプール陣内に入り、ボールを回し、再びウチの左サイドから攻め上がるチェルシー。


 すると……「調子に乗んなや!!」と優斗がディフェンスラインまで下がって来て魂のスライディング。


 ヨシッ!優斗、エライ!


 だが、ピーっと無情にも主審の笛が吹かれる。


 アホッ!優斗、なにやってんだー!!


 えっ、もしかしてPK!?


 だが、かろうじてウチ(リバプール)のPAの外。


 あっぶな……だが、相変わらずピンチは続く。


 まあ、PKじゃないだけまだマシか……そして、FKを蹴るのは3番スペイン代表マルコ・アロンヌ。


 ウチ(リバプール)の選手達全員、足元が浮足立ったまま、容赦なく試合は再開する。


 するとアロンヌの左足のインフロントで蹴られたボールは鋭く曲がりながらリバプールゴールを襲う。


 必死に飛びつくアリソンさん。


 だが無情にもボールはアリソンさんの指先をすり抜けて行く。


 あっ、今度こそやられた。 


 すると……バイーン!!と大きく音を立ててはじけ飛ぶボール。


 えっ?ポストに当たった?セーフ?セーフ!!


 あぶな……あっぶなー!!


 相変わらず決め切れないチェルシー。


 たったの1分そこそこで、三回目の決定的チャンス。


 もしかして、今日はウチ(リバプール)がツいている日なのか?


 それともチェルシーがツいてない日なのか? 


 どっちなんだい!?


 ともかく九死に一生を得た我が軍(リバプール)


 頭を抱えるチェルシーサポーターの気持ちが良く分かる。


 チェルシーの激しい攻撃に耐えつつも、ようやくゲームが切れてウチ(リバプール)のスローインとなる。


 助かった、助かったー……って、もしかしてこのカードってこのまま永遠にこの展開?


 などと現実逃避からくだらない妄想をしていたその時だった。

 

 背中にとんでもない殺気を感じた僕。


 恐る恐る振り返って見ると……そこには、司がベンチ前で鬼神のような顔をして立っていた。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ