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フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第十一章 飛躍のリバプール2年目編

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vsホットナム戦 その10

「上がれー!!」


 司のその掛け声で、拓郎が、ダンク師匠が、そしてGKのアリソンさんまでもが、ホットナムゴールに向かって走り出す。


 ここで点を取らなければ、その時点で今季のウチ(リバプール)のリーグ戦は終了だ。


 当たって砕けろ(ゴー・フォー・イット)!!


 リスクなんか知ったこっちゃない。


 ここで取らねば、俺達に明日は無い。


 鬼気迫るような司のドリブル。


 迫りくるホットナムのDF(ディフェンダー)を次々と躱していく。


 おいおいおい、らしくねーじゃねーか、お前一体どこまでボール運ぶつもりよ?


 俺もFWとして司のドリブル合わせて、ホットナムのDFラインと駆け引きをする。


 キラーパスを通すのならいつだって構わないぜ、準備万端だ司。


 だが、まるでバッジョでも乗り移ったかのような華麗なドリブルでどんどんとホットナムの陣内に突き進む司。


 おいおい、本当に一人で最後までいっちまうつもりか?


 すると、まるで翔太でも乗り移ったかのようなキレッキレのダブルタッチでWBのエドモンドまで躱してしまう司。


 遂にホットナムのPA(ペナルティエリア)左45度の所までやって来てしまった。


 そこは通称デルピエーロゾーンと言われる場所で……


 司はシュートモーションに入ると、これ以上やらせてなるものかとホットナムの3CBが襲い掛かる。


 その瞬間(とき)を待ち構えていた司。


 そこから渾身のキックフェイントで縦に抜けると、司は三人のCBをまとめて置き去りにする。


 ホットナムPA(ペナルティエリア)左ポケットにフリーで入る司。


 そこから完璧な体勢でホットナムのゴール前に折り返しのクロスを入れる。


 北里司の左足からピンポイントで放たれたボールは、まるであらかじめそこに来るのが分かっていたかのように、最後列から駆け上がって来た拓郎の頭にジャストミート。


 最高到達点3mに届くかという神の鯨(カムイフンペ)のスプラッシュジャンプに競り合う者など誰もいなかった。


 直後、大砲のような豪快なヘディングシュートがホットナムゴールに突き刺さる。


 EPLイングランド・プレミアリーグ 第36節 リバプールSC vs ホットナム・トットスターズFCの試合は後半45分、森下拓郎のゴールにより1対1となる。


 まるで沸騰したかのようなサポーター達の歓声で湧くアンフィールド。


 だがゴールを喜ぶ間もなく、拓郎は勢いそのままにホットナムのゴールに入っていきボールを回収すると、急いで駆け戻ってセンターサークルまでボールを運ぶ。


 クラップ監督も、ダンク師匠も、そして司も、選手の皆にすぐにポジションに付けと大声を上げてジェスチャー。


 時計を見ると後半の45分。ウチ(リバプール)の選手の誰もが、逆転を信じて試合再開の準備をする。


 電光掲示板を見るとアディショナルタイムは5分。


 一刻も早くゲームを再開させねばならない。


 だが、ここでホットナムは最後の選手交代のカードを切った。


 21番のクルゼイロに替わり8番のハリー・リンクスを投入。


 この交代により、ホットナムは向う見ずに勝ち点3を取りに行くのではなく、難攻不落(アウェイ)のアンフィールドで勝ち点1を確実に持ち帰ることを選択する。


 そうなると手練れ曲者の揃うホットナム。


 露骨に時間稼ぎに入ると、審判からイエローカードを提示されるギリギリまで試合再開を遅らせる。


 そして今度は試合が再開すると、ハリル・ケインを中盤の底まで下げて来て自軍ゴール前でボール回しを始めた。


 だからと言って、俺達もこのままみすみすと指をくわえて見ているつもりもない。


 リバプールの選手達が死に物狂いでボールを追いかけ回す。


 だが、無情にも時計は着々と進んでいく。


 47分、右サイドで嵌めたと思ったがライン際、マイボール狙いでボールを体に当てられ惜しくも相手ボールになる。


 48分、リバプールの選手達は遂にキーパーのアリソンさんを除いてのオールコートプレスでホットナムを追い詰めるも、唯一マークの付いていないGKのウーゴ・ロドリが覚悟を決めてボールを前に持ち運び大きくクリア。


 49分、どうにかマイボールにするも、ホットナムはゴール前に5-5のブロックを敷き残り1分、絶対死守の構えをとる。


 それと同時にウチ(リバプール)は拓郎がゴール前に電柱として張り付かせると司からのピンポイントクロスが入る。


 だが、流石に3人のCBに囲まれてはボールを自由に触らせてはもらえない拓郎。


 それでも何とかボールを納め、死に物狂いでキープをする。


 ホットナムの選手達もこの局面でボールを繋げる意識など微塵も無く、ただ大きくクリアすることを目指すのみ。


 50分、ゴール前のこぼれ球がホットナムの選手の足元に転がる。


 それをこれでもかと大きく蹴り出すホットナムのCBロメオ。


 しかし、最後の執念で拓郎が体を投げ出すと、ボールは拓郎の頭に当たり大きく跳ね返った。


 拓郎の執念が実ったのか、それともフットボールの神様の思し召しか、そのこぼれ球が俺の前に飛んで来た。


 それを見たホットナムの選手達が俺に襲い掛かる。


 もうトラップをする余裕など何処にも無かった。


 俺は残された力を振り絞るようにしてボールを打ち抜いた。


 シュートコースなど何処にも無かった。


 ただ、もしかしたら飛び込んで来たホットナムの選手の体に当たり、あわよくばシュートが枠に飛んでくれれば……そんな藁にもすがる思いの最後の悪あがきだった。


 だが、神様の思し召しは二度続くことはなく、ボールは飛び込んで来たホットナムの選手の体に当たると明後日の方向に飛んで行きゴールラインを割った。


 それでも司はボールボーイから渡されたボールを抱え必死に右のコーナーアークへと走り出したその時だった。


 審判の、試合終了を告げる長い長い笛の音が鳴った。


 EPLイングランド・プレミアリーグ 第36節 リバプールSC vs ホットナム・トットスターズFCの試合は1対1で引き分けとなった。



 --------------------⚽⚽⚽--------------------


 

 ――その24時間後、


 アンフィールドから西方50kmにあるマクレクターシティーのホーム、『ザ・シティー・オブ・マクレクター・スタジアム』では、グアルディオルさん率いるマクレクターシティーが完璧な試合運びで対戦相手のネオ・キャッスルを5-0で下した。


 これによりEPLイングランド・プレミアリーグ第36節の順位は、首位マクレクターシティー、勝ち点86、2位はリバプールSCで勝ち点は83となる。

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