vsマクレクターC戦 その6
試合が再開すると、さらに圧を強めてきたマクレクターC。
司令塔のレブライネがホーランドの頭を目掛けて次々とボールを入れて来る。
だが、先程までと違い、既に1枚イエローをもらってしまった拓郎。
相変わらずホーランドと競り合うものの思い切りが無くなってしまった分、最後の最後でどうしても競り負けてしまう。
やはりこのレベルになると、カード1枚の重さというものは相当なものになる。
かといって先程までの様に後先考えずプレーして、もう一枚カードをもらったら、この試合はそこで終わりだ。
今のシティー相手に10人で戦うなど、リードが何点あろうがあって言う間にひっくり返されてしまう。
セーフティーかつアグレッシブに、与えられた任務はどんどんと困難になってゆく。
すると、前線で起点を作ることに成功したシティーは前半開始同様、リバプールのゴール前でゲームを続ける。
ハーフタイムまであとアディショナルタイムのみを残すこととなった前半46分、遂にシティーの執念が実る。
拓郎の前でボールを納めることに成功したホーランドがワンタッチでグーリッシュに展開すると、ワンツーで抜け出したホーランドをおとりに使い俺のいる右サイドを抜け出した。クソがーっ!!
勢いに乗ったグーリッシュはそのままサイドラインを抉るとゴールライン手前で急ターンからのスラローム。
ニアに走り込んだホーランドにグラウンダーの鋭いクロスを入れる。
だが、一度食らい付いたらそう簡単には離しやしないウチの鯱は、ハーランドのダイレクトボレーを太ももでブロック。わーお、痛そう。
リフレクションしたボールをダンク師匠が必死に掻き出すも、ボールはペナルティーアーク付近にポトリと落ちる。そしてそれを待ち構えていたのは、レブライネ。
ワンバウンドしたボールの上りっぱなを右足のインステップで完璧に捉えると、ボールは糸を引くように、リバプールゴールの右上隅に吸い込まれていく。
ホーランドのシュートに反応してニアサイドからまだ戻り切れないアリソンさんはただ見送るのみ。
EPL第32節 リバプールSC vs マクレクター・Cの戦いは、前半の46分、ケヴィン・レブライネのゴールにより1-1となる。クソがーっ!!
その後も圧を全く緩めないシティー。あわよくば前半の内に追い付いてしまおうとさらにエンジンをふかしてくる。
だが、ハーフタイムに入るまではもう絶対に点を許さないと覚悟を決めたリバプールは、ゴール前で5-5のブロックを敷いてシティーの猛攻を耐え忍ぶ。
すると、ホーランドに入ったクロスを拓郎が大きくクリアーしたところで前半終了の笛が鳴った。
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控室に戻るなりすぐにミーティングが始まる。
まずは後半のホーランドの対応についてだった。
最初にクラップさんから「今日はマチャドを出すつもりはない」とはっきりと宣言。「そして当然それ以外のCBもだ」と……
つまり、このゲームは拓郎とダンク師匠と心中するという事。
「まぁ、退場になったらなったで考えるけど、それ以外で拓郎もそしてダンク師匠も下げるつもりは全く無い」といつものクラップスマイル。
次にホーランドのマークを後半ダンク師匠に任せるかどうか?ということ。
まあ、左右のCBの位置を変えるという事なのだが……
すると、「いや、最後までホーランドにマーク付けさせてなのね」と今まで見せたことのないような凛々しい表情の拓郎。これまでは類稀なるフィジカルのおかげで肉弾勝負で負けたことなど無かった拓郎だが、ホーランドという世界最高の大型FWと相まみえ、遂にその闘志に火が付いたのだろう。
もし、この後、何かやらかしたとしても、その経験すらチームの財産になると踏んだのか、クラップ監督は「よーし、分かった。後半も拓郎に任せる」と全権を委託。
「まかせてなのねー」と胸をドンと叩く拓郎。
北欧の巨人vs八王子生まれの鯱の第二ラウンドが始まる。
「じゃあ、攻撃についてなんだけれど、後半15分を目途に優斗、拓実、投入するよ」とクラップさん。
途端にざわつくロッカールームの中。
「ってことは?」
「うん、ジョコとマネラが交代」
「ちょっ、監督!!」となんかマネラさんが意見ありそうだ。
しかし、「二日後のベンティカ戦、頭から行くから準備しときなさい」とクラップさん。
「……はい」
「あと、週末にもシティー戦があるからよろしく頼むよ。ジョコもね」とフォローを忘れないクラップさん。
さすがに上手いなー。
「あとそれから神児、試合の流れ次第では君もTAAと交代するからとにかく後半の入りからフルスロットルで」と。
「了解です」
「とにかく、前半同様、シティーは後半の入りから間違いなく点を取りに来る。とにかくそこを凌ぎ切れば、我々よりもスケジュールのキツイシティーだ。絶対にこちらにチャンスがやって来る。球際は激しく、恐れるな。拓郎、君の勇気にチームの勝利が掛かってるよ」
「わかったのねー!!」
「監督、時間です」
チームスタッフの声が聞こえた。
後半戦が始まる。




