表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フットボールのギフト ~底辺Jリーガーの俺がフットボールの神様からもらったご褒美とは~  作者: 相沢孝
第十一章 飛躍のリバプール2年目編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

862/904

2022年4月2日未明 その3

「それでだ」


 司はそう言うと顔をグイっと近づけて来る。あらやだ上司、目がちょっと座ってませんか?


「話終わりじゃないすか?」


「こっからが、本番だ」


「……はぁ」


 こうなってくるとあんまりいい予感しねーなー。(ってかビール2本で酔い過ぎだろ)


「いうても、W杯は7か月後」


「……たしかに」


「それまでの間、W杯の事ばっか考えてばかりでもいられねーだろ」といつの間にか3本目のビールを飲み始めている司。もしもし、明日試合ですけれど、大丈夫ですか?


「まあ、俺は別にそれでいいですけれど」


「言いわけねーだろ!!(タンッ)」そう言って司はビールをテーブルの上に叩きつけるように置いた。


「…………」



 --------------------⚽⚽⚽--------------------



 ――30分後、



「クインティプル・クラウン(※3)だ!クインティプル・クラウン!!」


 司はそう言って大声を張り上げると、五本の指を大きく掲げる。


「ど、ど、ど、どうした、お前!?!?」


 つい先ほどまで真面目に今シーズンの目標について話し合っていたのに、つまみを取りにちょっとキッチンに行っている間に話が大きく膨れ上がっていた。


 見ると、司の足元には空になったテキーラの瓶が……って、この馬鹿、何飲んでんだよ、このバカちんがー!!(※4)


「いいか、神児、リーグ戦に、カップ戦に、国王杯、それにCLにW杯の優勝だー!!」


 司が大声を上げ高らかに宣言すると、(ドンドンドン)と隣の部屋から抗議のノックが聞こえる。


 あっ、はい、どうも、すみません。


 俺はとりあえず、壁越しに大声で謝ると、そのまま司の背後に回り口を塞いでベッドがある寝室にぶん投げる。


「とりあえず、そこで寝てろー!!」


 だが司は尚も懲りもせず、「神児ー、W杯も優勝だからなー!!」と大声で叫ぶ。


「うるせー、アホたれー!(バタン!)」


 俺はそう吐き捨てると、寝室の扉を乱暴に閉めた。



 --------------------★★★★★--------------------




 まあ、司の話を掻い摘んで言うとこうだ。


 2月に行われたカバラオカップでチェルシーを下し、既に一冠を既に手中している我が軍(リバプール)。現在EPLイングランド・プレミアリーグでは、勝ち点1差で首位のマクレクターCの2位に付けてる。


 そして、FAカップ、CLでも勝ち残っている。


 つまり、司が言うには残りの3冠も全て頂いてしまい前人未到のシーズン4冠を達成してしまおうと……まぁ、確かにその可能性は無くはないかな?


 今シーズンの懸念だったアフリカンネイションズカップが行われてた期間も、モーさん、マネラさんがいない中、5勝1敗で乗り切り、リーグ戦の方はというとほぼ、グアルディオラさんのマンCとのマッチレースとなっている。


 まあ、夢はでっかく四冠(quadruple crown)を目指そうって話だったのだが、キッチンから戻って来たら、テキーラの瓶が空くのと引き換えに、もう一冠増えていた。


 目標はでっかい程いいとはよく聞くが……


 それにしても5冠ねぇー。


 14年前にこの世界に来た時には、司と二人でW杯の舞台に立つことが最終目標だと話し合っていたのだが、14年の時を経て、W杯の舞台ではなく頂点に立つことに大幅な上方修正(アップグレード)する事となった。


「まあ、お前がそういうんなら、最後まで付き合ってやってもいいさ」


 俺はそうつぶやくと、手に持っていた缶ビールの残りをグイっと飲み干す。


 と、その時だった。


 寝室のドア越しから「み、水~……」と今にも死にそうな司の声が。


 ったく、しゃーねーな。


 俺はため息を吐くと立ち上がった。


 キッチンに行き冷蔵庫のドアを開けると、扉の裏にはキンキンに冷えたミネラルウォーターのペットボトルがあった。


 俺はその中の一本を手に取ると、司がくたばっている寝室に向かう。


 ドアを開けると案の定、ベッドの上でうつ伏せでのびている司の姿が……大丈夫かコイツ?


「おい、司、持ってきてやったぞ」


 俺はそう言うとミネラルウォーターをふりふり。


「さ、さんきゅ~~」


 今にもくたばりそうな声でどうにかこうにか手を上げる司。


「おらよっ」


 俺はそう言ってベッドの上でくたばっている司に放り投げた。


 だが、したたかに酔っぱらった司はペットボトルを取り損ねるとそのままダウン。


 あーあーあーあー……こりゃ、重症だ。


 すると、司は掛布団に顔をうずめたまま、「なぁ、神児……ワールドカップ……絶対、取るぞ」と。


 そう言うと、最後の力を振り絞るようにベッドの上にあるミネラルウォーターを手に取る。


 どうやら、介抱する必要までは無さそうだ。


 まあ、今シーズンが始まってから、W杯の切符を手に入れるまで、クラブに代表に、気が休まる暇なんてまったく無かったんだもんな。たまにはこうして羽を伸ばす事も大目に見てやろう。


「分かったよ、司、おやすみ」


 俺はそう言うと静かに扉を閉めた。






 ※3、クインティプル・クラウン(quintuple crown)=五冠っていみですよ。


 ※4、翌朝、司に聞いたところ、ボトルの底に残っていた五分の一程のテキーラをラッパ飲みしたそうです。それでも飲み過ぎだバカ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ