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11回目の人生は悪役貴族の息子でした〜かつて大賢者や剣聖だった俺、今度は公爵家の放蕩息子に転生して圧倒的に無双する〜  作者: 霧山鬼灯
第五章

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不気味な魔力

「この俺を魔法で出し抜くとは……舐めた真似をしてくれる」


 ぎゅっと拳を握りしめ、魔力探知に全神経を注ぐ。アリアの魔力、ついでにローズの魔力を探る。


 隠していたのかは分からないが、ローズにも王族の血が流れている。そんな彼女らの魔力は少しばかり特殊なので見れば一目でわかる。


 アストラルの森は魔物も多く様々な魔力が入り混じっているが、集中してかき分けていく。探知範囲外に行ってしまっていれば手遅れだが、そう簡単に範囲外に逃れられるほどの探知範囲はしていない。


「見つけたが……これは」


 正体不明の膨大な魔力を感知し、急いで向かう。騎士たちには悪いが、何も言わずに救出に向かうことにする。


 俺の目を逃れてアリアたちを攫ったんだ。この世界においてかなりの実力者でありただものではないはずだ。


 しかし、そんな相手ではなくその場にいて動かない膨大な魔力の塊の方が、今の俺には寒気がするほど不気味だった。


 幸いにも距離はそこまで遠くない。今から全速力で行けば数分でたどり着く。


 身体能力強化の魔法を最大でかけて最速で森をかける。一度行った場所であれば転移可能だが、アリアたちが攫われた先は知らないので走っていくしかない。


 それでも馬よりも早く一瞬でたどり着けるので大した問題にはならない。


 二人が連れ去られた先は深層のかなり奥にあった洞窟の中だった。


 国や冒険者ギルドでは攻略できていないようなところに連れてきたということは……犯人の実力はかなり上澄みということか。


 自分に認識疎外の魔法をかけ中に入っていく。

 中は広い空洞になっており、道が分岐しているわけでもなくすぐにアリアたちの姿が見える。


 アリアもローズも拘束されており、簡単には抜け出せそうになかった。だが攫ったということは王女を殺すことが目的ではないはずなので、すぐに助け出すようなことはしなかった。


 その場の様子を伺っているととある男がアリアたちに近寄っていく。俺はその男の事を知っていた。


「あいつは、確かアイズとか名乗ってた……」


 アストラルの森で異変が起きたとき、俺たちは班対抗で模擬戦をしていた。その時のメンバーの一人であるアイズと名乗っていた男が犯人だったのだ。


 だが、思えば不自然な点はあった。カイン。ハイネン学園長との会話を思い出せばすぐ察すことができたはずだ。


『君の班員の……なんて言ったかな。無口な子だったからあんまり覚えてないや』


 この無口な男というのはアイズのことを指している。レクシアは女でありワイト・ヴァイスはとても無口な男から外れている。


 アイズは魔物によって気絶させられていたはずだ。それなのに俺が魔物を討伐したなどと報告できるわけがないのだ。


 ワイトやレクシアから聞いた可能性はある。しかしそもそも俺がアリアを助けに行ったことまで報告できるのがおかしいのだ。ワイトもレクシアも俺がアリアを助けに行ったことなど知らない、あくまで一体のイレギュラーと対峙したことしか伝えられるはずがないのだ。


 つまり、あの異変を起こした犯人というのはアイズであり奴の行動を見れば王族の血を狙ってのことだと察しはつく。だからこそアリアには三体の中で最も強力なオーガを当てることにしたのだろう。


 奴の会話を聞いていれば、王族の血を利用して神々を復活させるつもりなのだろう。アテナに聞いたことはあるが、そんな存在が複数体復活してしまえば俺の手にも負えなくなる。


 それだけは阻止しなければいけない、が。奴らが復活させたがっている神とやらを見ておくのも重要なことかもしれない。


 この男だけで終わるとは思えないし、言ってしまえば世界の敵な訳だ。そんな集団の特殊な力は見ておくべきだろう。


 アリアとローズには悪いが、少しだけ待っていてもらおう。アイズが彼女たちの血を採取し、不気味な物体が入っているポッドに注入したところで高らかに笑い始める。


 その物体の確認をこれからする以上、アイズの存在は確実に邪魔になる。それならば、今確実に屠ってしまうのが正解だ。


 四肢に力をこめ、魔力を手先に集中させる。気配遮断など今はいらない、確実にアイズの命を刈り取ることだけを考える。


 ハイになっているのか、アイズがこちらに気が付く様子はない。音速をも超える超スピードで背後に回り込むと、心臓部めがけて一突き。


「——悪いが、お前がそれを見る瞬間は来ない」


 神の復活を目論むアイズにそう告げると、手の先にあたっていた心臓を思いっきりつかみ握りつぶした。

 ぐちゅ、と嫌な音がしてから勢いよく腕を引くと今度はアイズの身体から鮮血が飛び散る。


 普通であれば、こんなことをすれば即死だ。だというのにアイズは倒れこまず、ただそこに立っていた。


「あぁ……アレク・グレンハルト。お前も見るといい、神が再びこの世界を支配する瞬間を」


 痛みなど感じていないかのように告げるアイズの言葉のすぐ後に、この世のものとは思えない熱気が、俺たちを襲うのだった。

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次回の更新は7月27日18時頃を予定しています!

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