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11回目の人生は悪役貴族の息子でした〜かつて大賢者や剣聖だった俺、今度は公爵家の放蕩息子に転生して圧倒的に無双する〜  作者: 霧山鬼灯
第五章

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出し抜かれた大賢者

 大遠征も始まってから四日目。半分を過ぎた今はアストラルの森の深層近くまでたどり着いていた。

 騎士たちは深層付近の魔物を発見すると武器を構えて警戒態勢を取る。


「うおおおお!こいつを狩ればまたうまい飯をアレク様が作ってくれるぞ!」


「飯のためにやるぞ!」


「今の俺たちの前には魔物なんかいない!そこにあるのはただの食材のみ!」


「………………」


 ……騎士たちの頑張りの源がいつの間にか俺の作る飯になっていた。というか、自ら魔物を狩る動きを見せているので戦わないように迂回するといった行動を取ってくれない。


 彼らのレベルであれば魔物全部と戦うのは非常に危険な行為なのだが、欲望のためなのかすべてにおいて勝利を収めている。普段からその調子で頑張れば昇進なんて簡単なはずなのに、勿体ないものだ。


「す、すごいですね……ここ四日間ずっとあの調子ですけど、まったく気疲れした様子がありません」


「いやほんと、何が彼らをそこまで突き動かすのか」


 呆れたジト目で見ている俺とは逆に、アリアとローズは感心したように彼らを見ていた。日ごろから騎士の様子を見ている王族とその侍女からすれば、今の彼らの働きは驚きものだったんだろう。いや、俺だって驚いている。


「それはもちろんアレク様の食事です!あんなに美味しい食事、王宮でも食べたことがありませんから!それもこんな設備の整っていない場所で作り出せるなんて……!」


「いえいえ、ただの嗜みですよ」


 料理スキルの熟練度を最大まで上げたのだから、王宮の料理人に負けるわけにはいかないのだ。


 料理人だった当時も王宮の料理人にスカウトされたものだが、彼らとともに作るよりも俺が一人で作る方がうまく作れた。


 だからといって王宮の料理人をバカにするわけでもない。ただ俺の生き方がおかしかっただけなのだから、常人にとっては普通に生きていてようやくたどり着ける境地にいるのが彼らなのだ。


 アテナから祝福をもらう前に料理の腕を磨きお願いして料理人のスキルをもらうことができる存在など俺を除いてほかにいない。


「でも本当に素晴らしいですね……その年でここまで磨き上げるなんて、普通はできませんよ。一体どんな手を使ったんですか?」


「それは秘密ですよ。もちろん、王族として問われたら答えないわけにはいきませんが」


「そんなことはしませんっ!アレク様からの信頼を勝ち取って話してもらいます」


 信頼を勝ち取る、と発言したアリアをぱちぱちと瞬きしながら見つめる。信頼を勝ち取りに行くのは俺のはずなのだが……彼女はいったい何のつもりでその発言をしたのだろうか。


 分からない、彼女が考えていることが何一つ分からないままだ。

 彼女と結ばれ王位継承権を得たがる俺は彼女から好感を持たねばならない。そんな俺は彼女からの信頼を得なければならない。


 しかし彼女を手にしたいと思う貴族は少なくないし、実際にお見合いの話を持ってこられたことは少なくないはずだ。


 そんな彼女は近づいてくる俺を見極めねばならず、俺からの信頼など関係ないはずである。


 よく分からなくなったので彼女の発言は放置することに決めて騎士団の後をついていく。

 実力を披露する機会かと思ったが、騎士団が頑張ってくれているのでその時は訪れなかった。


 彼らからの信頼は得られたと思えばいいことなのだが……これでは王家からの褒章が得られるかが分からない。俺がオーガを討伐してアリアを救ったということを証明しなければ褒章として爵位を与えることは不可能だ。


 実力を見せたいところだが……まさか食欲があそこまで実力を上振れさせるとは思わなかった。


「おーい、アレク様!ここらで食事にしませんか?」


「はいはい……そんなワクワクした目で見てくるな。今から作ってやるから」


「よしゃー!これでもっと頑張れそうだ!」


「この調子なら深層まで攻略できるぞ!」


 ワイワイと盛り上がる騎士団員たち、俺の作る料理は確かに最高級品だがここまで前のめりになってくるとは思わなかった。


 魔法を巧みに使い料理を進めていくと、騎士団員たちがそわそわし始める。

 ここまで毎回俺の料理を食べているが舌が肥えることもなく楽しみにしているので味に緩急をつけるのは正解だったと言えるだろう。


 料理を終わらせ、アリアとローズの分を盛り付けると他は騎士団員たちに託す。騎士団員たちは歓声を上げながら料理に群がっている。


「はぁ……相変わらずだな。まぁ放っておいても大丈夫か」


 この調子で騎士団からの好感度を高めておこうと考えつつも、今は騎士団よりもアリアからの信頼の方が大事なので早く料理を持っていくことにする。


「アリア様、ローズさん、料理を……ん?」


 あの二人が待機しているはずの場所にやって来ても彼女たちの姿はそこにはなかった。


 料理をしている最中も結界は張って警戒は怠らなかった。結界を破られた様子はない、つまり……俺の結界を破るのではなく術式に干渉することで破ったというのか?


 俺が探知できなかったとでも言うのだろうか。料理中とはいえ、俺がアリアたちに近づく存在を感知できなかったと?


「この俺を魔法で出し抜くとは……舐めた真似をしてくれる」


 ぎゅっと拳を握ってアリアたちを攫った存在を全力で潰すことを誓った。

最後までお読みいただきありがとうございました!もし「面白い」「続きが気になる!」と思ってくださったら、ページ下部にある【ブックマークに追加】と、評価の【☆☆☆☆☆】をポチッと押して応援していただけると、執筆の凄まじい励みになります!

次回の更新は7月25日18時頃を予定しています!


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