第33話:掌の中の輝き。蒼龍くんと「明珠在掌」の覚醒
私たちは何か壁にぶつかったとき、「自分には才能が足りない」「もっと強い武器があれば」と、自分の外側に答えを探してしまいがちです。
しかし、本当の答えは、すでにあなたの中に備わっているのかもしれません。 深海の底で伝説の宝珠に触れた蒼龍くん。そこで彼が目にした「驚くべき真実」とは。
深海の静寂の中で「大安心」の境地を得た蒼龍くんは、ついに伝説の宝と対面します。
深海の底、古い沈没船の影から放たれるまばゆい光がありました。蒼龍くんがその光に近づくと、そこには美しく輝く一玉の「宝珠」が鎮座していました。
(これがお師匠さまの言っていた、龍の宝……。これがあれば、黒龍に勝てるんだ!)
蒼龍くんが期待に胸を膨らませて宝珠に触れた瞬間、その珠は淡い光となって消え、彼の掌の中に吸い込まれていきました。驚いて手元を見ると、そこには何もありません。 しかし、不思議なことに、体の中から太陽のような温かさが溢れ出してきたのです。
「宝が……消えた? いや、違う」 蒼龍くんは、自分の手の中を見つめ、ハッと気づきました。
「『明珠在掌』。……宝物(明珠)は、どこか遠い場所にあるのではない。最初から、僕のこの手の中にあったんだ」
彼が海底で手に入れたのは、強力な武器ではありませんでした。それは、自分を信じる心、これまでの修行で積み重ねてきた努力、そして人々を想う慈悲の心……。外側に求めていた強さは、実はすでに自分の中に備わっていたのだという「確信」だったのです。
(僕は今まで、何かが足りないと思って怖がっていた。でも、お師匠さまの教えも、村のみんなの笑顔も、全部僕の中にあった。この輝きがある限り、僕はもう闇に呑まれない!)
掌から伝わる温もりは、折れない勇気となって全身を駆け巡りました。蒼龍くんの青い鱗は、深海の中でも黄金色に輝き始めました。自分の中にある「宝」に目覚めた小龍に、もはや迷いはありません。
「待っていて、黒龍。……今度は、あなたの心にあるはずの『宝』を見つけに行くよ」
蒼龍くんは力強く海面へと駆け上がりました。 暗く冷たい海を切り裂き、光り輝く蒼い龍が再び地上へと舞い戻ったのです!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「明珠在掌」とは、かけがえのない宝玉はどこか遠くにあるのではなく、すでに自分の掌にある、という意味です。
「自分には何かが足りない」と握りしめていた拳を、蒼龍くんは深海の闇でようやく開くことができました。修行で得た本当の宝とは、強力な武器ではなく、「自分はすでに宝であった」という確信だったのです。
次回、地上に舞い戻った蒼龍くんが、再び魔王の前に立ちます。
格好悪い自分も、弱い自分も丸ごと認める境地。
ありのままの自分を肯定する蒼龍くんの光は、果たして黒龍の闇に勝てるのか。
完結まで残り3話!
合掌




