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蒼龍くん物語 〜禅のことばと、小さな旅〜  作者: 佐藤 堅明
第1章:気づきの門(第1〜12話)

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第3話:幸せは「苺のひとくち」に。足るを知る心の魔法

こんにちは、佐藤堅明です。

本日の「一挙三話公開」の最後となるお話をお届けします。


誰かと自分を比べて、心がざわついてしまうことはありませんか?

欲しかったものを手に入れても、すぐにまた次が欲しくなる……。 そんな「心の渇き」を癒やすヒントを、蒼龍くんと一緒に見つけていただければ幸いです。

「平常心」を学んだ蒼龍くんは、穏やかな気持ちで、草原の修行を続けていました。


ある日、村の子供たちが、ピィやキューと一緒に宝物自慢をしています。

「見て!私のどんぐりは、誰のよりも大きくてピカピカよ!」

「僕の羽根は、虹色に光る珍しい鳥の羽根さ!」

ピィとキューも、美味しそうな木の実をたくさん集めた籠を見せて、得意げにしています。


蒼龍くんは、ふと自分の足元を見ました。そこには、小さな花が一輪。手には小さな苺が一つあるだけでした。彼は、少しだけ寂しくなりました。

「みんな、すごく立派なものを持っているな。僕の宝物といえば...なんだろう。僕も、もっと大きくて、もっとピカピカ光るものがあればな...」

彼の頭には、遠い海に沈んでいるという伝説の「龍の宝玉」のことが浮かびました。あれがあれば、みんなに尊敬されるのに、と。


そのとき、遠くからお金持ちの商人が通りかかりました。商人はいつも高価な服を着て、たくさんの荷物を抱えています。

「やれやれ、これだけ持っているのに、まだ足りない。もっと、もっと利益を上げなければ…」

商人は疲れた顔で、額の汗を拭いながら、小さな川のほとりで休んでいました。


村の子の一人が、好奇心から商人に聞きました。「おじさん、そんなにたくさん宝物を持っているのに、どうしてそんなに疲れてるの?」

商人はため息をつき、「足りないんだよ。持っても、持っても、心が満たされないんだ」と答えました。


その言葉を聞いた蒼龍くんは、ハッとしました。

彼が手に持っていた小さな苺は、太陽の光を浴びて、真っ赤に輝いていました。その甘い香りを嗅ぐと、心がじんわりと温かくなります。

(そうだ。僕は、空を飛べる強い翼がある。毎日、温かい太陽が僕を照らしてくれる。大好きな広い草原がある。美味しい水が飲める川がある。そして何より、玄龍さまや、ピィ、キューといった、大切な友達が周りにいる。)

蒼龍くんは、手に握っていた小さな苺を、そっと口に運びました。

「うん!なんて美味しいんだろう!」

苺の甘さが口いっぱいに広がり、蒼龍くんは心から微笑みました。


玄龍さまの教えが、彼の心に響きます。

「『知足ちそく』とは、外にある大きなものを追い求めることではない。すでに満たされている自分の中の豊かさに気づき、今あるものに心から感謝することじゃ。」

村の子どもたちが持っているものより小さくても、商人が持っている財産より少なくても、この小さな苺一つ、今日の太陽の温かさ一つに、心からの感謝を見出すことができれば、それこそが最高の宝物です。


蒼龍くんは、小さな苺と花を胸に抱きしめ、幸せそうな笑顔を浮かべました。

「僕は、もうすでに満たされているんだ。ありがとう。」

真の豊かさとは、「足るを知る」という心の中にあることに気づいた蒼龍くんでした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


禅の言葉に「知足ちそく」という教えがあります。

文字通り「足るを知る」ということですが、これは「我慢する」ということではありません。


私たちがすでに持っている「当たり前」の中にある豊かさに気づき、感謝する。 すると、不思議なことに外側へ何かを求めなくても、心は自然と満たされていきます。


今、あなたの目の前にある小さな幸せは何ですか?


また三話連続でお付き合いいただいた方には、更なる愛心より感謝申し上げます。


蒼龍くんの物語は、現在私が書いている最新話に追いつくまで、明日からも【毎日19時頃】に一話ずつお届けしていく予定です。


ぜひブックマークをして、蒼龍くんと一緒に心の修行の旅を続けていただければ嬉しいです。

また明日、この場所でお会いしましょう。


次回の蒼龍くんは、ついつい遠くばかり見て足元が疎かになってしまったお話です。


合掌


佐藤堅明


※本作は現在、「曹洞宗 蒼龍寺」のFacebookでも同時連載中ですが、こちらの『なろう』版ではより読みやすく整えてお届けしています。まずはFacebookの最新話に追いつくまで、毎日更新を続けてまいりますので、楽しみにお待ちください。


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