【多種多様】
分体で産まれる子供達は、地球の人類とは、
姿形は、ほとんど同一ですが、別種の知的生命体と考えて下さい。
親である恵とは、魂の繋がりこそ有りますが、異能の力から産まれた存在なので、肉体的な部分では、親である恵とは、全く別の存在です。
つまり、恵は新しい形の人類を【創造】しました。
光一と陽七、
一暗と亜夜の結婚式の様な宴が終わって、一週間が過ぎた。
二組の夫婦は、それぞれの集落に新居を作り、暮らし始めた。
新婚生活は、順調な様なので、母親としてホッとした。
新しい二つの集落も徐々に出来て上がってきている。
二つの新しい集落が完成したら、先に出来た二つの集落の名前を変更する予定になっている。
白い髪の子達の住む【白村】は、【白南区】に名前が変わり、
黒い髪の子達の住む【黒村】は、【黒西区】に名前が変わる。
そして、白い髪の子達が住む新しい村は、【東陽区】と言う名前になる事に決まっていて、
黒い髪の子達が住む新しい村は、【北陰区】と言う名になる事が決まっている。
真ん中の【人類村】も名前が変わる予定で、【中央区】となり、
五つ全体で、【始祖町】と言う名前で呼ばれる。
もちろん、肉を主な産業としているのは、これまでと変わらない。
鶏や豚や牛の様な動物を家畜として飼育も始めている。
家畜は他にも大型の飛べない鳥や兎や蛙の様な動物など、数種類を実験的に飼っている。
溜池や堀では、魚も養殖している。
恵が花見の時に手に入れた恐竜によく似た竜も、更に十数体 見付けて、牧場で飼育している。
田畑も豊かになり、五つの区画の町全体だけで、自給自足が可能な程にまで、集落は成長した。
いや、名称を変える程に、村と言うより、町としての規模と賑わいを持つまでになった。
「さて、コーイチ 行こうか?」
そうコーイチに声を掛けたのは、イアンだ。
「ああ、行こう」
区長をしている二人は、数人の仲間を連れて、新しく集落を作る場所を探すのを兼ねて、燻製や塩漬けにし、保存性を高めた肉を、獣人の集落に行商しに行く。
恵は、子供達の安否がわかる様に、毎回 憑依を使って、遠出の様子を観察している。
子供が成長しても、私の子供なのは変わらないからね。
今回の遠征は、南に向かって行く予定だ。
南には、草原を好む獣人 兎族や獣人 鼠族など、数種の獣人の集落が在るらしい。
恵の作った町だけで、自給自足は可能だが、多種多様な獣人との協力関係は、これまで同様 大事にしている。
移動は竜に乗って行く。
先ずは、山道を降りて行き、森を抜けて、広い草原に出る。
見渡す限りの草原だ。
恵がフジャーが出会った草原を、コーイチ達 子供達が竜に乗り、移動する。
草原は森より危険な生き物は現れにくいが、安全とは言い切れないので、
コーイチ達は、最大限の警戒をしながら進む。
途中 食べられる物を見付けては、竜から降りて、採取を行い、また移動する。
採取は、野菜として栽培出来そうな物は、根ごと採って、根を水苔で包み、大切に持ち帰れる様にしている。
「これ、良いのが採れたよ。ずっと栽培してみたかったけど、これ、なかなか無くて出来なかったんだよね」
と、コーイチがイアンに言う。
「あー 解る解る。それ美味しいよね」
イアンも同意する。
そんな理由で、なかなか草原を抜けられない。
警戒もせず、採取もしないで、草原を竜に走らせて移動すれば、既に草原を抜け出している頃だ。
そうして、のんびりと移動していたら……
ピョコッ
耳の長い者が現れた。
獣人 兎族だ。
イアンが憑依を使って意思疎通をする。
「こんにちは、今 兎族の集落に行く途中です」
そう、イアンが伝えると
[いく 案内する こい]
と、兎族は伝えてきた。
集落まで案内してくれるらしい。
「「「「ありがとう」」」」
コーイチ達は、みんなでお礼を伝える。
獣人 兎族は、獣人 猫族と同じ位の大きさで、他の獣人と同じく、草食では無くて雑食の知性体。
凄く長い耳を持っている。
狼族や猫族は、野菜より肉を好むが、兎族は、肉より野菜を好む。
それでも、一定量の動物性タンパク質を摂取する種族だ。
ただ、好む肉は、脂気の少ないサッパリした物で、
逆に脂気の多い物を好む狼族や猫族とは、対象的だ。
この様に、好みの違いは有るけれど、全ての獣人は、大なり小なり動物性タンパク質も摂取し、野菜も食べる雑食性と、獣人 狼族達に教わった。
ちなみに、兎族達も、モフモフして可愛い。
凄く可愛い。
コーイチ達は、獣人 兎族に食べられる野草を教わりながら、彼等の集落に移動する。
「えっ?これの根も食べられるんだ!?」
コーイチが興味深く説明を聞いている。
白い髪の子達は、農業が主な仕事の一つなので、その長であるコーイチは、新しい農作物を増やそうと、努力をしている。
今 説明を受けているのは、根が肥大して可食部分となる野草だ。
白いのとオレンジ色の二種類が有り、根は似た形になるが、全く別の植物らしい。
多分 白いのは大根、オレンジ色は人参と似た物だろう思う。
コーイチは、丁寧に採取して、活かしたまま持ち帰られる様に処理をしていた。
[あそこ 行く]
獣人 兎族は、草原から見える小山を指差して伝えてきた。
「あの小山に集落が在るんですね」
兎族を先頭に、竜から降りたまま、歩いて集落に向う。
初めて行く種族の集落に、ドキドキワクワクが止まらないコーイチ達。
集落を目指して歩いていると、またいで渡れる程の幅の小川が流れていた。
その小川に沿って、獣道が続いている。
そこから30分も歩くと、獣人 兎族の集落に着いた。
高さ3メートル程の木の柵で囲われている。
出入口から入ると、小山の麓に穴が多数有り、それが住居になっている様だった。
小川は出入口付近から集落の中に続いていて、集落の中では、小山の麓の湧き水の所に続いていた。
コーイチが
「先ずは族長に挨拶したい」
と、集落まで案内してくれた兎族に伝えると、集落の中も案内してくれて、族長の所に連れてきてくれた。
集落の中心の住居の穴の前に居る、白い毛が長目の兎族が、族長らしい。
「族長 【人類村】から肉を持って来ました。交換をしませんか?」
そう伝えると、喜んで迎えてくれた。
集落の中央の広場に案内される。
そこに敷物をして、その上に燻製や塩漬けになった肉を並べる。
一気に人集りが出来て、物々交換を希望する者が殺到する。
肉はなかなか貴重らしい。
イアンは集団全体に憑依を掛け、落ち着く様に伝える。
「落ち着いて、お肉は沢山沢山 持ってきてあるから」
獣人 兎族達の出してくる品を見て、より有用な物は多くの肉と交換し、価値の低い物とは、少量の肉と交換する。
いつもと違うこの時を、コーイチ達は愉しんで過ごした。
〜〜〜
異世界簡易マップ。
恵の【人類村】を更に拡げて、【白村】と【黒村】と完成間近の二つの村が加わった状態。
実際には、【人類村】に四つの村は付いているので、ここまで規模の拡張は無い。
(でも、各5つの村は東京ドーム位の広さは有るけど)
地図上側が北です。
異世界で誕生した新人類の文化圏が、徐々に拡がって行きます。
もちろん、平和的に住む場所を拡げて行くのです。




