【焼肉】
肉です。
兎に角 肉です。
巨大な鶏肉にしか見えない物体が、目の前の木に吊るされている。
首が切り落とされ、羽毛も全部 抜き取られた姿は、どう見ても巨大な鶏の肉だ。
手?前足?の形状が、鶏とは違うけど、それ以外は鶏肉です。
今は皮を剥いでいる。
流石に皮は硬いのかな?鶏肉みたいに皮付きで食べられたりしないのだろうか?
皮を剥いだお肉は美味しそう。肉は赤っぽくて、鶏肉より牛や馬の肉の色に近いかな?あ、カモやアヒルの肉が近いのかも?
肉として捌いたのを、獣人達は持って行って、熱く焼けた石の上で焼いている。
ザウルスちゃんから降りて、捌いている間近で観察した。
どんどんと捌かれて骨が見えてくる竜は、もう食材にしか見えなくなった。
内臓も取り出され、きれいに近くの川で洗われて、部位毎に分けられている。
内臓も人気みたいだけど、狩るのに一番貢献したと判断された私が好きな部分を貰って良いらしい。
焼鳥好きな私は、キモやハツとか、私にも解る部分を切り分けて貰った。
お肉の部分も貰えたから、フジャー達と座って一緒に焼く。
先ずはお肉から
ジュワー
うん。焼くと牛肉と変わらないね。
凄く美味しそう。
良い感じに焼けてきたので、塩を付けて食べてみる。
「えっ!?美味しい!牛肉と鶏肉を足して2で割ったみたい?あ、鴨肉?それより歯ごたえが有るから、それとも違う気がするけど、臭みも無くて美味しい!」
本当に凶悪なヴェロキラプトルそっくりな容姿からは想像の出来ない、旨味の強い臭みの無い美味しいお肉だった。
フジャーも夢中で食べている。
次にキモやハツの部分を焼いてみる。
ジュワー
これも鶏肉や牛や豚と変わり無い。
凄く美味しそう。
よく焼けた所から塩を付けて食べてみる。
先にキモから。
「あ、濃厚!鶏肉のより牛や豚のキモに近いかも」
次にハツを塩を付けて食べる。
「これ!凄い弾力!これも鶏より牛や豚だ!」
問題無く美味しく食べられた。
私にお酒?をすすめてきた。
あ、族長さんだ。
一杯頂く、甘口で美味しいお酒だった。
でも、私はお酒は強くなかったのに大丈夫かな?あれ?平気だ……
転生前と身体が違うからなのかな?
みんなと普通に飲めている。
不思議だな。
地球では、誰とも仲良く出来なかったのに、この世界ではみんなと仲良くなれている。
私は人間と相性が悪かったのかも。
そんな風に考えていたら、自然と涙が溢れた。
獣人のみんなも好きだけど、人間とも仲良くなりたかった。
怨霊になって深く深く憎んでしまって、人間の存在そのものが、怨みの対象でしかなくなってしまって、もう要らないとは思ってしまったけど、それでも私は人間だから、人間を人間として愛したかったな。
色んな想いが溢れてしまって、涙が止まらなくなってしまった。
優しく背中をさすってくれるフジャー。
「ありがとう」
目の前には、満開の桜。
そして、優しい仲間達。
美味しい料理とお酒。
この世界に来れた事に、心の底から感謝した。
ふと、竜の事が気になって、フジャーに聞いてみた。
「ねぇ?竜はよく出るの?」
[小さい いる いない 大きい みない]
「小さいのならいるけど、大きいのはいないから見ないんだ?」
[そう 大きい いない]
「そうなんだ?オトロチや巨大なトカゲや大きな竜が、続けて現れるって変だね」
「こわい おそろしい」
そう思いながら、その大きな竜を美味しそうに食べるフジャー。
私も美味しく食べてるから、そこはツッコまないでおこう。
その美味しいお肉を提供してくれた竜の様子を見ると、吊られた骨になってきていた。
まだ若干 お肉が残っているけど、もう少し削がれたら、骨だけになる。
その骨の近くのお肉を貰ってくる。
ジュワー
やっぱり美味しそうなお肉だ。
巨大な危険な生き物が、続けて現れた事への疑問より、食欲が勝ってしまった。
焼けた肉を頬張るる
「うん。骨の近くだけあって、旨味がより強くて美味しい!」
骨だけになった竜は、そのまま焚き火に突っ込まれた。
焼けたら獣人達は、骨にしゃぶりつく様に、残っていた肉を食べていた。
流石 野生児達!ワイルド!
私は、草を食んでいたザウルスちゃんに目をやって、この楽しい宴の終わりが近くなったのを感じて、それを惜しんでいた。
竜の肉の味を想像で表現してみました。
でも、何も根拠の無い表現では無く、ダチョウなどの実在の生き物の肉質から、もし恐竜そっくりな竜の肉を食べたら……と書いてみました。




