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奇跡の余白  作者: 黒田真由


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3/7

痩せる薬(3)

 清佳(さやか)は、大きくなったお腹をさすった。


「体重、やっぱり赤ちゃんの分が増えちゃったな。それか、漢方が効いてなかったかもしれない。幸太(こうた)君は、無事に六十キロになったから、あの薬屋さんの薬は、本当に効果があるのかもしれないけど。こればっかりは、どうしようもないね」


 彼女は、もう一度大きなお腹をさすると、ゆっくり立ち上がった。


「清佳。大丈夫?」

「大丈夫。ありがとう」


 立ち上がった清佳を支えるのは、幸太。彼は、健康的に程よく引き締まった体型になっていた。


「幸太君は、綺麗に薬の効果が出たね」

「まぁな。頑張って、通勤で歩くようにしたのも良かったのかもな」

「あの人、運動しなさいって言ってたしね」

「とりあえず、来年の健康診断は、引っかからないことを願うよ」

「そうね」


 ふうっと、清佳は息を吐くと、玄関へと向かった。


「赤ちゃんが生まれるまでもう少しだし、入院中も無理はするなよ?」

「わかった」

「ちゃんとご飯は食べるんだぞ?」

「わかった」

「それから……」


 清佳はクスリと笑うと、幸太の心配を止めた。


「大丈夫。私には、幸太もついているし、病院の看護師さんや先生もいる。大丈夫よ」


 幸太は、清佳の言葉にどこか腑に落ちない顔をしつつも、心配というものを引っ込めた。

 二人は、仲良く玄関を出ると、荷物を幸太の車のトランクに乗せて、幸太は運転席に、清佳は助手席に座った。

 ゆっくりと発車する車。その車は、二人の軽くなった心と、ほんの少しの心配と、小さな命を乗せて、新しい生活への道を進みだしたのだった。

読んでいただき、ありがとうございます。

今回は、薬を飲んだ彼女たちのその後の生活の一ページでした。

無事に、赤ちゃんが生まれてくるといいですね。

さて、次はどんな物語が待っているのでしょう?

ぜひ、続きもお楽しみいただけますと幸いです。

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