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奇跡の余白  作者: 黒田真由


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痩せる薬(2)

二ヶ月たった頃。彼氏に錠剤を買った彼女が、店にやってきた。彼女は、ほんの少しふっくらとした様子になっていた。


「おや、あんたかい。まさか、あんたが錠剤でも飲んだのかい?」


 彼女は、横に首を振って、言葉を返した。


「いえ、私は飲んでいないです。ただ、薬が切れてしまって……。彼、ちゃんと飲んではいたんですけど、まだ五キロしか減っていないらしくて」

「なるほどな。で、あんたの体型も変わったようだが、あんたも薬が欲しいのかい?」

「そうですね……。できれば、今の体型が維持できるものはありますか? 妊娠したはいいのですが、どうしてもたくさん食べてしまって……。あまり急激に太り過ぎないよう、病院の先生に言われてしまって困っているんです。赤ちゃんへの影響がないもので、そういう薬はありますでしょうか?」

「なるほど、おめでたというやつか……。ふむ」


 そう言うと、華乃は奥に引っ込んだ。

 そして、以前と同じ瓶を一つと、漢方薬が個包装された束を持ってきた。


「こっちは、以前渡したあんたの彼氏のものだ。そして、こっちは、あんたの分」


 薬を差し出された彼女は、少し目を見開いて、慌てて言葉を発した。


「あ、彼とは結婚したんです」


 華乃は、ほんの少しどうでもいいといった様子で、彼女を祝った。


「そうかい、おめでとさん」

「ありがとうございます」


 華乃は、彼女の礼には返事をせず、言葉を続けた。


「旦那さんの分は、前回話した通りだ。そして、あんたのこの漢方。これは、体重を維持はしてくれる。ただし、食間に飲むこと。そうすれば、効果は高い。別に食前食後でも構わないが、効果が薄れる。食間が確実だ」

「わかりました」

「さて……。お代だが、瓶が一万円と、漢方が五千円。合計一万五千円だ。どうする?」

「買います」


 彼女は、きっぱり返事をすると、財布から一万五千円を取り出した。


「まいどあり」


 華乃は、漢方と錠剤を袋に入れると、彼女に渡した。


「あ、あんた。飲む時は、必ず一包ずつ飲むこと。そして、飲んだら最低二時間は空けて、次の分を飲むこと。そうしないと、赤ちゃんに影響が出るかもしれないからね。必ず守るんだよ」

「わかりました」


 華乃の忠告に彼女は返事をすると、ぺこりと頭を下げて、店を出て行った。


「赤ちゃんかぁ……。無事に生まれるといいねぇ……。まぁ、ちゃんと守っているなら、大丈夫だろう」


 華乃は、気怠げに棚の漢方を眺めた。

読んでいただき、ありがとうございました。

いかがでしたでしょうか?

来店した女性、無事に赤ちゃんが生まれるといいですね。

さて、また薬を買った彼女たちは、どうなっていくのでしょう?

ぜひ、続きもお楽しみいただけますと幸いです。

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