後日談〜『三芳先輩の新スタート』
後述になるが、三芳さんは半年程前に、他の会社へ転職していた。今の彼氏とは職場で知り合ったため、結婚への準備のためだったのか。
前の旦那さんとの離婚について職場で大っぴらにされる結果になった時によほど辛い思いだったのだろう。
再び今度は職場恋愛での結婚話が広まるのは本意ではなかったのだ。
三芳さんの彼氏は、三芳さんより9歳若く明るくてお行儀の良いきちんとした青年だ。正直、結婚することになった事には驚いた。
三芳さんも元々は淑やかで面倒見の良い人柄の女性なだけに、歳下の彼氏も三芳さんの良さに惹かれて姉さん女房を望む結果になったのだろう。
三芳さんが結婚したと風の便りに聞いたのは、都留野さんの結婚式から半年余り経った春のある日だ。
結婚式には招待されなかった。三芳さんは、式を挙げなかったらしい。やはり最初の結婚の後すぐに離婚する事になった過去がまだ尾を引いているのか。
迷った挙げ句、三芳さんに結婚祝のメールを送ってみたら、程なく返信があった。
「木内さん、結婚お祝いメールありがとう。
こちらは今度は順調よ。やっぱり好きな人と一緒に暮らすっていいわね。たまにケンカはするけど仲良くしてるわよ。
木内さんのおめでたい話はいつ聞けるのかしら?」
今度の結婚生活は順調そうで幸せそうな三芳さんの文面にほっと心がほころんだ。
「やっぱり……やっぱり、女性の幸せは結婚なのかしら。
……そうよね。私も、このまま子供も生まず歳老いて一人身寄りのない老婆になっていいのかしら」
「???」どうすべきなのだろう。。
そういえば、この前、学生時代の友人から、
「いい人がいるからよかったら紹介したいけれど、どうする?」
と聞かれたっけ。
心が大きく揺れた。特に、子供を持たなくて良いのか、後世に子供を遺すべきではないのかという課題に目を背けていてはいけないような気がした。
窓の外からはうららかな春の陽射しが差し込んで、私の背中を後押ししているようだった。




