経験という紙屑をシュレッダーにかけて
石の上にも3年と言うが、私が、この夢洲商事の子会社に入社して、端末管理センターに配属されてから、やっと3年が経った。長い長い道のりだった。
私の仕事の腕はそこそこは上がったが、要領が悪く、三芳さんほどのめざましい進歩とは程遠かった。また、こだわりが強く、人間関係でうまく立ち回ることができない。いつも敵を作ってしまいがちだった。
仕事は、相変わらず、基本的にはルーチンワーク、シュレッダーをかけている時、ふと、都留野さんのハイヒールのかかとの音が聞こえたような気がする時もあった。そんな時、彼女を思い出し、精神的呪縛(後ろめたさ)を感じながら、同時に、角田さんと一緒の都留野さんも思い出し、複雑な心境に陥っていた。
勤続3年を迎えたその日、私の心から尊敬する大迫さんが、言葉をくれた。
「木内さん、君のこだわりは時に扱いにくいこともあるけれど、君ほどこの仕事を『正しく』やり遂げようとする人はいない。君の熱心さに、私はずっと救われてきたんだよ。3年、よく腐らずに続けてくれたね」
この言葉を聞いた瞬間、私の耳にこびり付いていた「都留野さんのヒールの音」が、ふっと消えるような気がした。
「自分は運が悪かったのではなく、この場所(大迫さんの下)に辿り着くために必要な3年だった」
過去の自分の失敗も、失った人間関係も、すべて「経験」という名の紙屑としてシュレッダーにかける。でも、今の私の手元には、
大迫さんから認められた「仕事」という確かな手応えが残っている。
**「私は繋がらない。でも、私はここで立っている」**
「あとがき」
木内という不器用な女性の3年間を、最後まで見守ってくださりありがとうございました。皆様にとっての『再起動』が、どこかで始まりますように。




