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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第三章 黒銀の断罪機
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(26)蒼穹調律

 三日間のインターバル。宇宙アリーナでの初戦を終え、俺たちに与えられたのは、わずかな休息と次戦への準備を詰める貴重な時間だった。


 そして迎えた三日目。明日に迫ったブラジル戦を前に、俺たちは整備施設で御影とフェルディナンドさんとの打ち合わせに臨んでいた。地球からはるばる駆けつけてくれた御影の表情は、いつも以上に厳しい。スクリーンに映し出されたロードラストのデータ解析を指さしながら、低く静かな声で口を開く。


「リュウト君、まずはエリックさんからのメッセージを伝える」

 控え室に響くその声を聞いただけで、嫌な予感がした。


「ルナドライブの暴走制御についてだが…結論から言えば、間に合わなかった。正直に言って申し訳ない、とのことだ」


 胸の奥に冷たいものが流れ込むのを感じた。北海道でのテロとの戦闘で見せた、あの赤黒い光を纏ったロードラストの力――もし制御できれば、大会を有利に進められると信じていた。でも、現実はそう甘くないらしい。


「さらに、それを踏まえてエリックさんからの指示だ。ルナドライブ周辺への強い衝撃を避けること。そして、エネルギー出力を急激に上げ下げしないこと。守れなければ、暴走のリスクが高まる」


「暴走、か…」

 俺は歯を食いしばった。ロードラストの次世代ルナドライブには、まだ分からないことが多すぎる。安定した戦い方をしろってことか? それってつまり、ロードラストの持つポテンシャルを封じるってことだろ。攻め手を欠いた状態で、高機動戦闘が得意なブラジル代表にどう戦えばいい? 考えれば考えるほど、答えが見つからなかった。


 その様子を見ていたのか、フェルディナンドさんが穏やかで、それでいて重みのある声で言う。


「リュウト、確かに攻めなきゃ勝てない。でも、暴走させたら終わりだ。個人の力じゃなくて、チームで戦うんだ。仲間との連携でカバーすればいい」


 その言葉で、心の奥底にあった焦りが、少しだけ和らぐのを感じた。そうだ。俺たちは一人じゃない。連携――それこそが、俺たちの最大の武器なんだ。


「アヤカ君、次は君の番だ」

 御影がスクリーンを切り替え、鋭い視線をアヤカに向ける。そして、さらなる注意事項を告げた。


「君が希望して取り付けたバスターディガー改の新機能について、エリックさんからの伝言だ。一度使ったら、少なくとも丸一日は機体が稼働しなくなる。つまり、連戦では絶対に使わないこと。そして、戦いの最後に使用するよう徹底してほしい、とのことだ」


「えー、分かってるってば!」

 アヤカが口を尖らせて答える。その態度に、御影が少し呆れたようにため息をついた。でも、アヤカが真剣なのは分かってる。


「…で、いったい何を追加したんだ?」

 俺が尋ねると、アヤカはニヤリと笑った。


「それはお楽しみってやつでしょ! ま、大丈夫、任せといて!」

 その自信満々な様子に、俺は思わずため息をつきながらも、微かに笑みを浮かべた。こういうときのアヤカの勢いは、チーム全体の雰囲気を明るくする。それだけでも、十分価値がある。


 こうして、ブラジル戦に向けた準備は着々と進んでいく。控えめに言っても、簡単な戦いにはならない。それでも、俺たちは進むしかない。仲間と共に。

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@chocola_carlyle

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