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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第三章 黒銀の断罪機
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(23)猛虎撃破

 タイガーマークがまた突っ込んできた。鋭い爪がバスターディガー改の装甲に食い込み、金属がきしむ嫌な音がコックピットに響く。通信越しにアヤカの小さな唸り声が聞こえた。さすがに今の一撃は効いたらしい。


「やってくれたわね…!」

 アヤカの声には怒りが混じってたけど、それ以上に燃え上がる闘志が伝わってきた。すぐにバスターディガー改のマグネティックハンマーが展開される。だが、その隙をタイガーマークは見逃さない。スラスターを全開にし、無重力空間を活かして一瞬で距離を取った。


 その俊敏さに、俺は歯を食いしばる。


「ちょこまか動きやがって…!」

 でも、今のはチャンスだ。


「アヤカ、今だ! 背後を取る!」

 俺はロードラスト・ヴァルクスの新武装「ワイヤードリルアーム」を即座に展開。機体全身のスラスターを全開にし、青白い光を引きながらタイガーマークの背後に回り込む。ディスプレイの敵機アイコンが、一瞬止まった。


――今しかない!


 照準を合わせ、ワイヤーを射出。高速で放たれたワイヤーがタイガーマークの脚部に絡みつき、その場に捕らえる。続いて、内蔵されたドリルが唸りを上げながら高速回転を開始した。


「捕まえたぞ!」

 タイガーマークがもがき、スラスターを吹かして逃れようとするが、無重力空間ではバランスを崩すだけ。絡まれた脚を引き剥がすことはできない。俺はさらにワイヤーを引き込み、敵機の動きを完全に封じる。


「ナイス、リュウト!」

 アヤカの声が響いた。バスターディガー改のマグネティックハンマーが振り上げられる。


「いっけえええ!!!」

 鈍い轟音とともに、タイガーマークの装甲に直撃。敵機の外殻が歪み、火花が散る。バランスを崩した機体が制御を失い、スラスターを不規則に吹かすが、もうただの暴れ馬だ。


「逃がすかっての!」

 アヤカが次の一撃に備え、シールドバーストランマーを展開。巨大な盾が敵機の爪を受け止め、内蔵されたエネルギーが解放される。青白い光の奔流がタイガーマークを包み込み、その衝撃が装甲を粉砕していく。


 やがて、タイガーマークのスラスターが完全に沈黙。ディスプレイには、戦闘不能を示す赤いマーカーが点滅していた。


「一機撃破!」

 アヤカの興奮した声が通信越しに響く。観客席から歓声が湧き上がり、宇宙アリーナ全体が震えた。


 だけど、俺の胸の奥にはまだ冷たい感覚が残っていた。戦いはまだ終わりじゃない。残る二機――アークトライデントとバルディスが、確実に次の攻撃の準備を整えている。


 通信チャンネルが一瞬開き、ドイツ代表の悔しげな声が漏れた。


「くそっ! こんな貧弱な小娘に…!」


 だけど、そんな捨て台詞に耳を貸す余裕はない。ただ、戦闘の熱が増すだけだ。


「ロードラスト、次だ。」

 操縦桿を握り直し、ディスプレイに映る次の敵機に目を向ける。


「次も派手に決めるわよ!」

 アヤカが力強く宣言する。青白い光を纏ったロードラストとバスターディガー改が、再び動き出した。

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@chocola_carlyle

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