(22)猛機襲迅
「準備はいい?」
アヤカの声が通信越しに響く。その明るい口調には、いつもの余裕が見え隠れしているが、緊張が微かに滲んでいるのが分かる。
「もちろん」
操縦桿を握りしめ、深呼吸をする。ディスプレイには敵機三機の情報が浮かび上がっていた。セレナの冷静な解説が耳に残る。
タイガーマークは高速突撃型、猛獣のようなスピードで接近戦を得意。
アークトライデントは中距離からの精密なビーム攻撃が主力らしい。
バルディスは長距離狙撃特化型、ドイツチームの象徴ともいえる主砲。
「煽ってきたことは忘れてください。相手の実力は本物です。」
ルナの警告が耳を打つ。その冷静な声に、俺たちはそれぞれの役割を再確認し、無言で頷いた。
通信越しに鳴り響く開始の合図。
「バトルスタート!」
その瞬間、タイガーマークが青白い閃光を引いて動き出した。目にも留まらぬ速さ。スラスターの噴射が闇に軌跡を描き、次の瞬間には俺たちの間合いに飛び込んできた。
「速い!」
ロードラストのスラスターを逆噴射させ、なんとか距離を取る。だが、タイガーマークは追撃のスピードをさらに上げ、こちらの動きを読んでいるかのように迫ってくる。
「くっ、こいつ!」
防御体勢を取る前に、タイガーマークの鋭い爪がロードラストの右肩を掠める。振動が機体全体に伝わり、コックピットが揺れる。
「リュウト、大丈夫?」
通信越しのルナの声が聞こえるが、返事をする余裕はない。タイガーマークは間髪入れずに次の攻撃を仕掛けてくる。
「私が引き受ける!」
アヤカのバスターディガー改がカバーに入った。巨大なマグネティックハンマーを展開し、タイガーマークに向けて力強く振り下ろす。
「くらえ!」
ハンマーの一撃がタイガーマークの胴体を捉えたかに見えたが、その瞬間、タイガーマークはスラスターを全開にして回避する。寸でのところで攻撃をかわすその動きは、まるで戦場を遊び場にしているようだ。
解説が響く。「マグネティックハンマー、電磁力を利用した武装です。反動を制御する逆スラスター技術は、宇宙空間ならではの工夫ですね。」
「もっと褒めてほしいけど、当たらなきゃ意味ないじゃん!」
アヤカが苛立った声を上げる。タイガーマークは反転し、今度はアヤカを狙って接近してきた。まだまだ始まったばりだ。
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