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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第三章 黒銀の断罪機
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(9)天路発進

 ついに宇宙大会の準備が整った。俺たちは軌道エレベーターの前に立ち、新たな戦場へ向かう決意を胸に抱いていた。傍らには、改造を終えた三体のムーンギア――ロードラスト・ヴァルクス、ルミナスフローラ、そしてバスターディガー改。それぞれが新たな力を纏い、俺たちと共に宇宙を目指す。


 ルナのルミナスフローラは元々宇宙を視野に設計されていた機体ということで、武装のアップデートだけで完成形に達したらしい。白銀の装甲が光を反射し、ただそこに佇むだけで圧倒的な威圧感を放っている。近未来的で、どこか神聖ささえ漂うその姿に、俺は思わず見惚れた。


 アヤカのバスターディガー改は、重機を魔改造した機体をそのまま宇宙に持ち込むのは無理がありすぎる――ということで、ほぼゼロから作り直された。とはいえ、アヤカの無茶な要求で「重機ベース」というコンセプトだけはしっかりと残され、真っ黄色の外装も健在だ。その結果、ゼロから作り直す余地を逆手に取る形で、新しい仕組みまでいろいろと盛り込まれたらしい。


 そして俺の相棒、ロードラスト・ヴァルクス。新しいダークブルーの装甲は、神戸の港と海を象徴すると言われたけど、それ以上に力強さと洗練を感じさせる。胸に輝く神戸重工業のロゴが、俺たちの信頼の証みたいで誇らしかった。この機体となら――そう思うだけで拳を握りしめた。


 目の前にそびえる軌道エレベーターは圧巻だった。地球の青空を切り裂き、天へと突き抜けるその姿は、文字通り未来への道そのもの。俺たちはここから宇宙へ行くのだ――その事実を目の当たりにして、胸が熱くなる。


「ジャンクになって送り返されてくるんじゃねえぞ!」

 スペースポートのみんなが笑いながら声をかけてきた。


「その時はリサイクルよろしくお願いします!」

 俺も軽く返したが、胸の奥に熱いものが込み上げる。ここが俺たちの原点で、送り出してくれる仲間がいる場所なんだと思うと、自然と背筋が伸びた。


 母さんも見送りに来てくれていた。いつもとは違う誇らしそうな表情――その顔を見ると、心の中で「ここまで来たぞ」と静かに呟いた。


 アヤカの周りは高専の仲間たちで大賑わい。ユイ、西園寺、藤堂、御影たちも集まり、それぞれが俺たちを送り出す準備をしていた。


「俺たちもすぐ追うからな。整備チームとして宇宙でも支援を続ける。」

 御影の貫禄ある声が響く。感謝してもしきれない。


 その時、ルナが一歩前に出た。軌道エレベーターを見上げる彼女の瞳には、懐かしさと期待が入り混じっているようだった。月面都市出身の彼女にとって、宇宙はただの目的地じゃない。帰る場所であり、未来を紡ぐ舞台でもあるのだろう。


「行きましょう。空へ、宇宙へ。その果てへ。」

 小さな声で呟いたルナの言葉が、俺たちの心を引き締める。


「よし、行こうぜ!」

 俺は再び拳を握り、胸を張った。背後から次々と「頑張れよ!」という声が飛んでくる。振り返ると、笑顔で手を振る仲間たちの姿があった。


 天へと続く軌道エレベーターが、俺たちを待っている。これが俺たちの新たな旅の始まりだ。夢見た未来が、今、現実になろうとしている。

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@chocola_carlyle

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