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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第三章 黒銀の断罪機
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(7)蒼鋼覚醒

 宇宙仕様への改修が始まった途端、俺たちの生活は一気に怒涛の日々へと突入した。毎週のように神戸の工場に通う羽目になり、気づけば日常の中心が世界大会に向けた準備にシフトしていた。


 俺は通信制高校だから、平日の時間も融通が利く。ルナと一緒に工場で作業に参加することができたのはありがたいけど、アヤカは高専の授業があるから春休みまでは土日祝しか来られない。それでも、来た日はまるで嵐のようだった。


 そんな中、一番キツかったのが無重力環境の疑似体験装置だ。VRゴーグルを付けたまま、360度回転する装置に縛り付けられる。吐き気と戦いながら、これは宇宙ステーションでの本番前の練習だと言い聞かせたけど、マジで体が悲鳴を上げるレベルだった。


 でも、ルナは違った。月面生まれの彼女にとって無重力環境なんて日常茶飯事なんだろう。初日から涼しい顔で装置を使いこなしていた。さすがだとしか言いようがない。一方で、アヤカは最初こそ苦戦してたけど、「コツを掴めばこんなもんよ!」と笑いながら楽しみ始めた。どんな状況にも順応する彼女の天才っぷりには、毎回驚かされる。


 そして、俺の相棒であるロードラストも、大規模な改修が進んでいた。まず目に見える変化はカラーリングだ。それまでのダークグリーンが完全に剥がされ、新たにダークブルーへと塗り直された。神戸の港と海を象徴する色だというけど、見た瞬間に「これだ!」と思った。深海のような神秘さと力強さを併せ持つその姿は、完全に生まれ変わったロードラストそのものだった。


「ロードラスト・ヴァルクス…これで決まりだな。」

 新しい名前を呟いた瞬間、胸が高鳴るのを感じた。ヴァルクス――錆びついた王が蘇り、新たな戦場で輝く姿をイメージして名付けた。そんなことを一人で盛り上がっていたら、エリックさんが近づいてきた。その顔は珍しく真剣そのものだった。


「リュウト君、ロードラストに搭載されているルナドライブですが、解析の結果、次世代型であることが判明しました。」


「次世代型?」

 その言葉に俺の頭は一瞬でフリーズした。


 エリックさんは続けた。「見た目は従来型と変わりませんが、エネルギー生成のメカニズムが全く異なります。試験段階で暴走し、廃棄されたものがジャンクとして地球に流れ着いた可能性が高いですね。全国大会での暴走も、それが原因だったのでしょう。」


 心臓がドクンと跳ねた。テロリストに打ち勝った相棒が、そんな危険な代物だったなんて。確かにあの赤黒い光、そして挙動は普通じゃなかった。


「理論上、ルナ様の母君、レイラ様と私が進めていた研究の知見を活用すれば制御可能な状態に持っていける可能性はありますが…世界大会に間に合う保証はありません。」


「お願いします!何がどうすごいのかは分からないけど、絶対お願いします!」

 勢いで頭を下げる俺に、エリックさんは静かに頷いた。その後、彼はルナの方に向き直り、さらに真剣な表情で口を開いた。


「ルナ様、ルミナスフローラのリミッター解除により基幹部から解放されたデータの中に、映像ファイルが含まれていました。それは…レイラ様が残されたものです。再生されますか?」


 ルナは一瞬戸惑ったものの、小さく頷いた。その瞬間、工場内の照明が落とされ、青白い光が投影され始める。

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@chocola_carlyle

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