(5)月征決意
「では、ついに本日の主役、リュウトさん、ルナさん、アヤカさん!どうぞ壇上へ!」
名前が呼ばれた瞬間、俺の心臓がドクンと跳ねた。全身が熱くなり、視線が一気に集中するのを感じる。えっ、今!? まだ料理を食べてる途中だって!俺は慌てて口の中の料理を飲み込もうとして、盛大にむせた。こんな大事な場面でこれだよ……。
「ほら、行くわよ!」アヤカが俺の腕を引っ張り、容赦なく立ち上がらせる。隣でルナも静かに立ち上がった。彼女の凛とした表情に気圧されつつ、俺は仕方なく足を動かす。頭の中では「こんな大舞台、どうすりゃいいんだよ!」と混乱しまくりだ。
壇上に上がった瞬間、眩いシャンデリアの光が目に飛び込んでくる。無数の視線が一斉に俺たちに注がれ、場違い感で胸がいっぱいになる。豪華なテーブルが並び、その向こうには、俺たちの一挙手一投足を見逃すまいとする視線の嵐。「俺たち、本当にこんな場所に立つ資格あんのか?」そんな不安が頭をよぎる。
「…な、なにしゃべりゃいいんだよ。」俺はアヤカに小声で聞く。すると彼女はニヤリと笑い、「簡単よ。勝ちますって言っとけばいいのよ!」と自信満々だ。いや、それで済むなら苦労しねえって!
俺は震えそうな手でマイクを握り、視線を下に落とさないよう必死にこらえる。心の中では「どうせこの後、記録映像とかに残るんだろ。ダサい姿を全国どころか世界に晒すのは絶対に嫌だ」と自分に言い聞かせる。でも、目の前の光景がやけに眩しくて、言葉が出てこない。
「ほら、堂々として!」アヤカが横から小声で急かしてくるが、そんな簡単に堂々とできるわけないだろ!
その時、ルナが一歩前に出た。彼女の手が静かにマイクを握り、その表情はどこか誇り高く見えた。
「ここまで応援してくださった皆さん、本当にありがとうございます。」
彼女の声はまっすぐで、会場全体にスッと響き渡る。その瞬間、俺の緊張も少しだけ和らいだ。ルナ、すげえな……。普段は控えめな彼女が、こんな場面でこんなに堂々としてるなんて。
「でも、ここで終わりではありません。これから世界大会、そして月面大会と、さらに大きな挑戦が待っています。どんな困難があっても、私たちは全力で立ち向かいます。」
その宣言に、俺は自然と拍手をしたくなった。ルナの言葉には不思議な力があって、俺たちが次に進むべき道を照らしているようだった。
次にマイクを渡された俺は、心臓が飛び出しそうになりながら、何とか言葉を紡ぐ。
「えっと…俺たち、こんな舞台に立てるなんて、正直まだ実感がないです。でも、ここまで来られたのは、仲間や支えてくれたみんなのおかげです。本当にありがとうございます!」
どうだ、俺なりに頑張っただろ!心の中で自分を鼓舞しつつ、マイクをアヤカに渡した。
アヤカは一歩前へ出て、得意げな顔で宣言する。
「皆さん、あたしたちがここまで来たのは当然よ!だってあたしが手掛けたバスターディガーと、こいつらが力を合わせたんだから!次の世界大会でも、もっとすごい戦いを見せてあげるわよ!」
その勢いある言葉に、会場が笑いと拍手に包まれる。これぞアヤカの真骨頂だな。緊張感を吹き飛ばしてくれるあの豪快さ、正直ちょっと羨ましい。
壇上を降りた瞬間、俺は小さく息を吐いた。「はぁ、緊張した…」
「なにそれ、全然堂々としてなかったじゃん!」アヤカが笑いながらからかってくる。「お前が言い過ぎなんだよ!」と俺も軽く言い返す。横でルナが小さく微笑むのが見えた。
次のステージ――世界大会。そして、その先の月面大会。未知の戦いが待っているけど、俺たちならやれるはずだ。
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