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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第三章 黒銀の断罪機
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(4)鋼舞栄華

 御影の挨拶が終わった瞬間、会場の空気が一変した。張り詰めた静寂と期待感が入り混じり、全員の視線が壇上の彼に注がれる。その堂々たる声は、戦場で巨大なタイタンギアを駆る彼そのもののように重厚で、会場全体に響き渡っていた。


「全国大会での激闘を制し、これから世界大会、さらには月面大会へと進む彼らを、関西の地で送り出せることを非常に光栄に思います。」


 俺の心は、御影の言葉にどこかくすぐられるような気持ちでいっぱいだった。「月面大会」なんて言葉、どれだけのロボットバトル好きの心を踊らせるんだろう。俺だって、幼い頃から夢見たSFの未来が、現実になったような感覚に浸っていた。


 拍手が巻き起こる中、御影は一瞬目を閉じ、再び語り始めた。


「特に、関西大会で私たち神戸重工業の力を代表して戦ったタイタンギアが、彼らとの試合でいかに磨かれたか。彼らの存在がなければ、私たちの技術もさらに一歩前に進むことはなかったでしょう。彼らはまさに、関西の誇りです。」


 タイタンギア――あの圧倒的な質量と動力、洗練された武装。全国大会で奴らに立ち向かった瞬間の記憶が鮮明に蘇る。俺たちの機体がそれを凌駕したのは確かだが、あの緊迫感と興奮は一生忘れられない。御影が語る「磨かれた」という言葉の意味を、俺は痛いほど実感していた。


 隣のアヤカが小声で「なんか演説っぽくてすごいね」と呟く。俺も同じことを思っていたが、こいつの落ち着きぶりが逆に笑えてくる。


 壇上では次々に名前が呼ばれていく。スペースポートの先輩たちの軽口に会場が沸き立ち、ユイの関西弁丸出しのコメントがさらに笑いを誘う。その光景を見て、俺の胸にじわじわと湧き上がるのは、こういう形で繋がった仲間たちへの誇りだった。


 その時ふと、エリックさんのことが頭をよぎった。彼はどうしているだろうか。亡命者である彼が、こんな晴れやかな場に顔を出せるわけがないのはわかっている。でも、御影が彼の名を口にした瞬間、俺は無意識に笑みを浮かべていた。


「バスターディガー開発に貢献したエンジニアは人前が苦手ということで、ここは大きな拍手を!」と紹介されると、会場中が彼に敬意を示すように拍手で包まれる。


 エリックさんの技術がなければ、俺たちはここまで来られなかった。その事実が、今さらながらに重く胸に響く。


 そして――ついに俺たちの名前が呼ばれた。

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@chocola_carlyle

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