(3)栄光開幕
第二神戸駅に降り立った瞬間、俺は思わず立ち尽くした。目の前にはパレードのような光景が広がっていたのだ。スポーツで優勝した選手が街中を歩く中継映像――そんなイメージが実体化したような賑やかさ。クラッカーが四方八方で鳴り響き、色とりどりの風船が空を埋め尽くしている。さらに、目を引いたのは超カラフルな専用車。駅前にずらりと配置され、周りにはテレビカメラやマイクを手にした取材陣が群がっていた。
「…ちょっとやりすぎじゃないか?」俺は呆然と呟いたが、その声は賑やかな喧騒にかき消されてしまった。
アヤカがにやりと笑いながら俺の肩を叩く。「いいじゃないの!ほら、英雄のお出ましよ!」
英雄って…。俺は照れくささを押し隠すように小さく息を吐いた。テロリストの乱入があったとはいえ、全国大会で勝利を掴んだんだ。ゼファーとの試合が引き分けに終わったのも含めて、俺たちの挑戦が認められた証なのだと、ようやく実感が湧いてきた。
送迎車に乗り込み、街中の祝福を後にすると、車窓から見えたのは関西大会の会場だ。港のそばにそびえるホテルに近づくたび、俺の中で様々な記憶がよみがえってくる。関西大会での激闘、月から亡命してきたエリックさんとの出会い……あの頃は必死で、先のことなんて考えられなかった。
ホテルに到着すると、待っていたのは豪華なシャンデリアが煌めく大広間。思わず目を見張った。「これ、ドラマとかで金持ちの結婚式やるような会場じゃねぇか…!」俺の心の声は思わず口に出そうになるが、何とか飲み込んだ。
そんな俺を余所に、壇上に立っていたのは――決勝で戦った御影だった。あのタイタンギアに乗り込んで俺たちの前に立ちはだかった彼が、堂々とした姿でマイクを握り、笑みを浮かべながら会場を見渡している。
「関西の英雄たちの登場だ!」御影の声がマイクを通じて響き渡ると、会場中が歓声に包まれた。
「いつまでこのノリ、続くんだよ」俺は思わず苦笑いしながら隣のアヤカを見ると、彼女はニヤニヤと嬉しそうにしていた。
「こういうのは素直に受け取ったもん勝ちよ!」
俺は肩をすくめ、溢れる感情を押さえながら、大広間の真ん中に立つ御影に視線を戻した。これが全国大会の、いや、俺たちの挑戦のひとつの終着点であり、次への始まりなんだと――そう思いながら、俺は次に何を語るのか、彼の口元に注目した。
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