(31)赫鋼疾駆
警告メッセージが画面を埋め尽くした瞬間、ロードラストのコックピット内が赤黒い光に染まった。操縦桿や計器が光を反射し、まるで自分ごと光に飲み込まれるような感覚。
その直後――機体が突然、信じられない勢いで動き出した。
「おい、ちょっ……どこ行くんだよ!」
操縦桿を握る手に伝わる異常な振動。力を入れすぎたせいで掌が痛い。それでもロードラストは俺の指示を完全に無視して、雪山を暴れ牛みたいに駆け下りる。
「落ち着けって言ってんだろ!」
必死に操縦桿を引く。けど、じゃじゃ馬のような機体は、さらにスピードを上げるだけ。雪を蹴散らし、岩を飛び越え、樹木を次々にへし折りながら突っ走る。体が振り回され、視界に映るものが全部ぶっ飛んでいく感覚。
警告音がけたたましく鳴り響く。
"WARNING: LUNAR DRIVE UNSTABLE"
"ALERT: TRAJECTORY SHIFT DETECTED"
「マジでふざけんなよ!」
目の前のコントロールパネルは、赤い文字だらけ。押しても引いても、ロードラストは意志を持ったかのように突き進む。気合を入れて体ごと操縦桿を引く。ようやく、機体がわずかに反応した。
「いけるか…?」
微かな手応えを頼りに操作を繰り返す。そしてロードラストが急旋回し、ネザーファングの方角を向いた。
「よし、その調子だ!」
雪を蹴散らしながら、ロードラストが再び加速。赤黒い光がさらに強まり、左手のシールドに粒子が集まる。右手のチェーンソーアームが唸りを上げ、まるで敵を求めて吠えているみたいだ。
視界の先――
ネザーファングの巨体が、ディスプレイに捉えられる。
その瞬間、また赤い文字が浮かび上がる。
"WARNING: VELOCITY NEARING MAX"
"ACTIVATED: TRAJECTORY LOCK-ON"
「LOCK-ONって、ロックオン!?だったらやれよ、もう!」
ネザーファングが砲撃を放つ。爆撃が目前に迫る。だが、ロードラストは鋭い身のこなしで攻撃をかわして突き進む。スピードが異常に上がっている。ネザーファングの砲撃が追いつかない。
「これならいける…!」
チェーンソーアームのスイッチを叩く。回転数がさらに上がる。右手の刃が轟音を立てて唸りを上げ、赤黒い光がさらに強く迸る。
視界が揺れる。
ネザーファングの装甲が目前に迫る。
「ロードラスト、全力でいけえええ!!」
叫びとともに、ロードラストが全身を震わせながら突進する。チェーンソーアームが敵の装甲に食い込む。轟音とともに、金属の破片と火花が舞う。
「やった…!」
装甲が裂け、火花が雪に散る。さっきまで歯が立たなかったはずの敵が、今ではまるで別物のように感じる。
赤黒い光を纏ったロードラスト。
今の俺たちなら、いける!
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