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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第二章 双月の覚醒機
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(29)連光決戦

 ソレイユヴァンガードが沈む。ゼファーがやられる。その光景を見たくなくて、思わず目を背けそうになる。しかし、黄金の光は、まだ消えていなかった。


 「えっ…?」


 驚きに目を見開き、ディスプレイを凝視する。

 ネザーファングの砲撃は、空中で爆発し、霧散していた。


 「お兄様…!」

 ルナの声が通信越しに響く。


 ソレイユヴァンガードの目の前には、青白い光をまとったルミナスフローラ。その輝きが、ネザーファングの砲撃を完全に防いでいた。


 黄金と青白い光が交差する戦場。

 その光景はまるで、新たな希望の幕開けを象徴するかのようだった。


 「ほぉ…妹が兄の盾になるとはな。」


 通信越しに響く、冷徹な声。

 ネザーファングのパイロット。

 その男は、わざと感情のない口調で続ける。


 「ヴァルド家の美しい家族愛、心が温まるよ。」


 その声には、無機質な冷たさと、相手を打ち砕くような鋭さが入り混じっていた。


 「その『献身』という名の茶番が、力の前では何の意味もないと教えてやる。そして、この茶番を見ている世界中の人間にもだ。ヴァルド家がどれほど愚かで、無力で、醜い存在か――しっかり見せつけてやる。」


 その言葉は、胸の奥深くを抉るように刺さる。

 だが、ルナは微動だにしなかった。


 「こんな形で、私は月に抗いたいのではありません。」


 彼女の静かな声が戦場に響く。

 だが、その声に込められた意志は鋼のように強く、揺るぎないものだった。


 「確かに、ルナリウム独占や、ルナドライブのブラックボックス化には問題があるでしょう。でも、命を奪い、力だけで全てを覆そうとするやり方は、絶対に許せません!」


 その言葉と共に、ルミナスフローラが青白い輝きをさらに増幅させる。次の瞬間、急加速。まるで一筋の閃光がネザーファングに向かって突き進むようだった。


 「リュウトさん、アヤカさん!三人で連携しましょう!」


 ルナの通信が届く。

 その声には、戦意と覚悟が宿っていた。

 それは、俺たちの迷いを吹き飛ばす力があった。


 「もちろんよ!」

 アヤカが力強く応じる。


 「ルナちゃんも、お兄さんも、絶対ここで終わらせたりしない!」

 「…あぁ!守るぞ、アヤカ!」


 操縦桿を握りしめる手に力がこもる。俺たちが止まるわけにはいかない。この戦いを終わらせる。その決意が胸に沸き上がる。


 しかし──

 通信越しに再び響く冷笑が、空気を凍りつかせた。


 「ルナヴァルドが築き上げた虚構の平和も、独占と抑圧で作られた偽りの秩序も、今日をもって終わりだ。」


 その言葉に込められた嘲笑と軽蔑が、戦場を支配する。


 「せいぜい足掻け、小娘と小僧よ。お前たちの残骸を拾い集めて、新たな秩序を築く足掛かりにしてやるよ。」


 ネザーファングが動いた。

 その巨大な砲口が、正確にこちらを狙い定める。

 俺たちの連携が試される戦いが、幕を開けた。

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