(29)連光決戦
ソレイユヴァンガードが沈む。ゼファーがやられる。その光景を見たくなくて、思わず目を背けそうになる。しかし、黄金の光は、まだ消えていなかった。
「えっ…?」
驚きに目を見開き、ディスプレイを凝視する。
ネザーファングの砲撃は、空中で爆発し、霧散していた。
「お兄様…!」
ルナの声が通信越しに響く。
ソレイユヴァンガードの目の前には、青白い光をまとったルミナスフローラ。その輝きが、ネザーファングの砲撃を完全に防いでいた。
黄金と青白い光が交差する戦場。
その光景はまるで、新たな希望の幕開けを象徴するかのようだった。
「ほぉ…妹が兄の盾になるとはな。」
通信越しに響く、冷徹な声。
ネザーファングのパイロット。
その男は、わざと感情のない口調で続ける。
「ヴァルド家の美しい家族愛、心が温まるよ。」
その声には、無機質な冷たさと、相手を打ち砕くような鋭さが入り混じっていた。
「その『献身』という名の茶番が、力の前では何の意味もないと教えてやる。そして、この茶番を見ている世界中の人間にもだ。ヴァルド家がどれほど愚かで、無力で、醜い存在か――しっかり見せつけてやる。」
その言葉は、胸の奥深くを抉るように刺さる。
だが、ルナは微動だにしなかった。
「こんな形で、私は月に抗いたいのではありません。」
彼女の静かな声が戦場に響く。
だが、その声に込められた意志は鋼のように強く、揺るぎないものだった。
「確かに、ルナリウム独占や、ルナドライブのブラックボックス化には問題があるでしょう。でも、命を奪い、力だけで全てを覆そうとするやり方は、絶対に許せません!」
その言葉と共に、ルミナスフローラが青白い輝きをさらに増幅させる。次の瞬間、急加速。まるで一筋の閃光がネザーファングに向かって突き進むようだった。
「リュウトさん、アヤカさん!三人で連携しましょう!」
ルナの通信が届く。
その声には、戦意と覚悟が宿っていた。
それは、俺たちの迷いを吹き飛ばす力があった。
「もちろんよ!」
アヤカが力強く応じる。
「ルナちゃんも、お兄さんも、絶対ここで終わらせたりしない!」
「…あぁ!守るぞ、アヤカ!」
操縦桿を握りしめる手に力がこもる。俺たちが止まるわけにはいかない。この戦いを終わらせる。その決意が胸に沸き上がる。
しかし──
通信越しに再び響く冷笑が、空気を凍りつかせた。
「ルナヴァルドが築き上げた虚構の平和も、独占と抑圧で作られた偽りの秩序も、今日をもって終わりだ。」
その言葉に込められた嘲笑と軽蔑が、戦場を支配する。
「せいぜい足掻け、小娘と小僧よ。お前たちの残骸を拾い集めて、新たな秩序を築く足掛かりにしてやるよ。」
ネザーファングが動いた。
その巨大な砲口が、正確にこちらを狙い定める。
俺たちの連携が試される戦いが、幕を開けた。
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