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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第二章 双月の覚醒機
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(25)鉄槌降臨

 リミッターを解除したルミナスフローラとソレイユヴァンガードが火花を散らす中、俺たちもゼファーの付き人たちと激しい戦闘を繰り広げていた。


 しかし、その時だった。大雪山の山頂付近から轟音が響き渡る。視界が白く染まり、巨大な雪崩が戦場へと迫る。地響きとともに、アリーナ全体が揺れた。


 「……何だ!?」


 ロードラストのコックピットが不気味な軋み音を立てる。

 ディスプレイ越しに映るのは、山頂から立ち上る炎と黒煙――。


 「火山の噴火か…?」


 状況が理解できない。


 「ちょっと、何よこれ!」


 アヤカの声が響く。

 俺もアヤカも、混乱しながら必死で雪崩の範囲外へ移動する。

 

 ゼファーの付き人機も動揺していた。

 通信越しに焦った声が飛び交う。


 「貴様たち、動くな!」


 この状況で戦闘を続けるなんて、どう考えてもありえない。

 ルナとゼファーも戦いを中断し、揃って空を見上げていた。


 戦場を包む、不気味な静寂――。

 そして、突如として響く送信者不明の声。


 「ヴァルド家の血を引く者共に告げる」

 「我々は鉄槌を下すために来た――」


 低く抑えられた声。

 しかし、その奥には、燃え盛る怒りが宿っている。

 背筋が凍るような感覚に、俺は息を呑んだ。


 「全国大会を見ている全ての者に問う。月の採掘権を独占し、ルナドライブの奇跡をブラックボックスに閉じ込めたルナヴァルド社――その体制を進歩と呼べるのか?」


 全身に嫌な汗が滲む。


 「……違う。」


 再び、声が響く。


 「進歩は競争から生まれる。全ての者が技術に触れ、学び、競い合うことで、新たな未来が築かれる。それを阻む独占の構造――それこそが真の敵だ。」


 「だが、ルナヴァルド社は月の資源を独占し、都市を築き、まるで月そのものを独立国家のように振る舞っている。」


 これはただの抗議ではない。これは、宣戦布告だ。声の主は、確固たる意志を持ち、そして行動する覚悟がある。


 「…お前たちの理不尽な体制を打ち砕く――それが我々『ネザーファング』の使命だ!」


 その宣言と共に、ディスプレイの端に異形の機影が映り込む。山頂から姿を現した巨大な機体。深いグレーの装甲に包まれたその姿は、冷徹で無機質。かつて神戸大会で見たタイタンギアを思わせるシルエット。だが、それを凌駕する圧倒的な重厚さと、武装。


 これは、競技用じゃない。

 嫌な予感が、全身を駆け巡る。

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