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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第二章 双月の覚醒機
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(15)雪山激闘

 初戦開始のサイレンが、雪山に響き渡る。ロードラストのコックピットで、俺の手が震えた。冷気がガラス越しに刺さるように感じる。心臓の鼓動が、うるさいくらいに響く。


 「これ…どうすりゃいいんだ…」


 目の前にそびえるのは、新潟チームのリーダー機――スノーバイト。白銀の巨体が、あまりにも圧倒的だった。その装甲は、氷そのものみたいに冷たく、硬そうで、まるで氷山が動いているかのよう。


 寒冷地仕様の極み。

 そう聞いていたが、実物の威圧感は段違いだった。


 「くそっ、これでどうやって戦えってんだよ…」


 焦りが思考を濁らせる。操作手順を思い出そうとするが、脳がフリーズしているみたいだ。その時――インカム越しに、ルナの冷静な声が響いた。


 「リュウトさん、焦らないでください。」


 その一言が、冷水を頭から浴びたみたいに効いた。

 途端に呼吸が整い、少しずつ視界がクリアになっていく。


 その瞬間、スノーバイトが動いた。雪が派手に舞い上がり、視界が真っ白に染まる。ダイヤモンドダストが霧のように漂い、周囲の景色が全て消えた。


 「やべぇ、何も見えねぇ!」


 その時、アヤカの声が響いた。


 「見てて! 突破するから!」


 その声に、思わず顔を上げる。雪煙を割って進むバスターディガーの巨大な影。重機とは思えないほどの力強さを持ったシルエットに、現実味がなくて笑いそうになる。


 「クラッシュアームでぶち壊すわよ!」


 アヤカの声と同時に、バスターディガーのアームが振り下ろされた。敵が作った雪の壁を、豪快に切り裂く!白銀の吹雪を突き破り、スノーバイトが姿を現す。その前に、アヤカのランスクレーンが真っ向から立ちはだかった。


 「すげぇ…強すぎる…」


 その光景に、思わず呟いた。

 あの圧倒的な冷気と雪すら、アヤカの"重機力"には敵わない。


 「リュウト、今よ!」


 アヤカの合図に、俺は操縦桿を握り直した。ロードラストのドリルタービンMK-Ⅱが回転を始め、轟音を上げる。全力で突っ込む。雪を切り裂きながら、スノーバイトに迫る!


 「おっしゃ、いける!」


 ――そう思ったその瞬間だった。

 冷気が、一気に襲いかかってきた。


 ディスプレイの隅に、赤い警告が点滅する。


 "WARNING: SYSTEM FREEZING"

 "MOBILITY REDUCED"

 "REACTOR OUTPUT: 38% AND FALLING"


 「な、なんだこれ…!?」


 全身が冷たさに包まれる。

 操縦桿が凍りついたみたいに重い。

 いや、機体全体が鈍くなっている。


 次の瞬間、アリーナ全体に解説者の声が響く。


 「冷気砲! これはスノーバイトの得意技です。冷却技術を駆使し、相手の機体を急激に冷やして動きを封じる戦術です!」


 「くっそ、雪だけじゃねえのかよ!」


 予想以上の影響だ。機体がまるで凍りつくように、どんどん鈍くなっていく。操縦桿を押し込んでも、びくともしない。冷気が、じわじわと全身を縛りつけていく。


 「動け…頼むから動いてくれ…!」

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@chocola_carlyle

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