表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第二章 双月の覚醒機
45/190

(7)挑発応戦

 特別護送車内の食堂は、全国大会へ向かう選手たちがリラックスするための場所…のはずだった。俺たちも軽食をつまみながら次の戦いについて考えていた。だが――隣のテーブルから聞こえてきた嫌な声に気づくまでは。


「おいおい、和歌山の新参チームじゃねえか。」


 挑発的な声が耳を突き刺す。顔を上げると、大分チームのリーダーらしい男がニヤニヤしながらこっちを見ていた。


「関西大会で優勝したって聞いたけどさ、ずいぶんチヤホヤされてるみたいだな。」


 その隣にいた女も、薄笑いを浮かべて口を開く。

「スペースポートでバイトしながらの片手間でここまで来たんだって? すごいじゃない、まるで観光気分みたいね。」


 ――観光気分?


 その一言が、俺の頭にズシリと突き刺さる。冗談じゃない。俺たちがどれだけ苦労してここまで来たと思ってるんだ――そう言いたかったが、言葉が喉で止まる。拳を握りしめ、冷静さを保とうとする。でも、視線だけは思わず鋭くなった。


 そんな俺の横で、アヤカが椅子を引いて立ち上がる。口元にはニヤリとした笑みを浮かべていた。

「観光ついでに、あんたらを雪の中に埋めて帰るのも悪くないかもね?」


 軽口っぽく見えるが、その声にはいつもの鋭さが混じっている。リーダーは鼻で笑いながら肩をすくめた。

「ぬかしやがって。俺たちのバックにはスペースポート大分がいるんだ。紀ノ國なんかとは、技術力も資金力も段違いだ。」


 その言葉がさらに胸に刺さる。ああ、そうかよ――資金も技術もねぇ俺たちのことを、見下してるってわけか。


 そこにルナが静かに立ち上がった。その表情には怒りなんかじゃなく、ただ静かな決意が宿っている。

「それだけでは、勝てません。」


 その一言に、大分の女が鼻で笑った。

「勝てないですって? ジャンクに覚悟が宿るとでも思ってるのかしら?」


 ――その瞬間、堪えきれなくなった。


「じゃあ、試してみるか?」


 立ち上がり、机越しに睨みつける。

「アリーナの上で、本物がどっちか見せつけてやるよ。」


 リーダーはニヤリと笑い、挑発的に言い返す。

「言ったな。負けても泣き言を言うんじゃねえぞ。」


 アヤカはそんな彼らを見下すように笑い返した。

「そっちこそ、スペースポート大分の名に泥を塗らないようにね!」


 ピリピリした空気が周囲にも伝わったのか、他の選手たちがこっちをチラチラと見ている。その時、ルナが俺の肩に手を置いた。その手のひらは冷静そのものだ。


「今はやめましょう。結果を出せばいいだけです。」


 その言葉にハッとする。ここで言い合いを続けたって意味がない――そうだ、俺たちは戦うためにここにいるんだ。


 俺は唇を噛みしめ、静かに拳を下ろした。大分チームは周囲の視線に気づいたのか、鼻を鳴らして席を立っていく。張り詰めた空気を残しながら、俺たちは再び椅子に腰を下ろした。


「ほんと、調子に乗りすぎだろあいつら。」

 俺が小声で漏らすと、アヤカが笑いながら肩をすくめる。

「まあまあ、試合で黙らせればいいっしょ。それが一番スカッとするからさ!」


「焦らないでください。」

 ルナが真剣な目で俺を見つめる。

「彼らの挑発は、私たちを乱すためのものです。試合で実力を証明しましょう。」


 俺は息をついて、深く頷いた。

「ああ、その通りだな。」


 大分の連中が何を言おうが関係ない。俺たちが全力を尽くしてバトルで勝つ――それだけが、俺たちの答えだ。

ページを下にスクロールしていただくと、広告の下に【★★★★★】の評価ボタンがあります。もし「続きを読みたい!」と思っていただけた際は、評価をいただけると嬉しいです。Twitter(X)でのご感想も励みになります!皆さまからの応援が、「もっと続きを書こう!」という力になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!


@chocola_carlyle

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ