(2)重機創機
「寒冷地仕様も大事だけどさ、機体の登録期限って十一月頭だろ?アヤカ、この前受け取ったルナドライブを使うって言ってたけど、一カ月で準備なんて無理じゃない?」
俺がそう言うと、アヤカはふんっと鼻で笑いながら、俺の顔を指さした。
「これがあるじゃん。」
指の先にあったのは、スペースポートの廃材処理場にそびえ立つ巨大な重機たち。クレーン、プレス機、裁断機――どれも工業用に設計された頑強な機械たちだ。
「…正気か?」
俺の口はぽかんと開いたまま、それらを見上げる。
「全部分解して、使える部品を素材にする。 そして、このルナドライブを組み込むの!」
アヤカは誇らしげに、青白い光を放つルナドライブを掲げた。
「いやいやいや、無理だろ。重機とルナドライブを組み合わせるなんて!」
「魔改造はあたしの本領でしょ? それにさ…あたしも相棒として胸張れる機体を作りたい。それだけよ!」
その言葉に、思わず黙る。
なんでこんな無茶苦茶なこと言ってるのに、説得力があるんだよ…。
こうして、怒涛の日々が始まった。
北海道・釧路の霧港高専の協力者とオンライン会議を重ねながら、スペースポートの重機を片っ端から分解することになった。
「こっちはクレーンのアームを取り外して、大型のグリップに改造する! そっちのプレス機の油圧部分、使えそうか確認して!」
アヤカの指示が飛び交うたびに、周囲の仲間たちが一斉に動き出す。その勢いに呆れつつも、俺も工具を手に取らざるを得なかった。
もちろん、重機を勝手に使うわけにはいかない。だが、先輩たちが「故障で動かなくなった」という書類をでっち上げてくれた。
ただし、条件付き。
「全国大会で優勝して、賞金で新型重機を調達すること。」
俺は思わず頭を抱えた。
「…大丈夫か、このスペースポート…?」
重機からムーンギアを作る。冗談みたいな話に聞こえる。でも…ロードラストだってジャンクから始まって、ここまで来たんだ。無茶に思えることでも、俺たちならなんとかできる。そう思わずにはいられなかった。
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