(1)寒地改装
関西大会で優勝した俺たちは、次なる舞台――全国大会に向けて準備を進めていた。
だが、その準備が……いや、想像以上に大変すぎる。
「にしても、寒冷地仕様……ほんっと大変ね!」
アヤカが机いっぱいに広げた図面を睨みつける。その目はまるで戦場に向かう兵士のようにギラギラしていた。だが、俺としては気が重い。
何で冬の旭川、大雪山で大会なんか開くんだよ……。
もっと南でやってくれりゃいいのに。寒さが苦手な身としては、すでに心が折れそうだ。
「前回、パワーアップを手伝ってくれたユイも、『そんなんウチ無理に決まっとるやん! 金積まれてもやれんよ!』って断ったしなぁ。誰か他に頼れる人、いないかな…」
アヤカがスマホをスクロールしながらぼやく。その表情は、すでに次の策を考えている顔だ。絶対に諦める気がない――いつもの「何とかしてやる!」モード突入。
「…高専仲間にまた聞いてみようかな。よし、行動あるのみ!」
そう言って、彼女は勢いよくスマホを掲げた。高専生専用のコミュニティアプリにログインし、掲示板に何かを投稿する。何を書いてるのかは見えなかったが、きっとアヤカ節全開だろう。
そして数分後。
「お、返信きた! 早っ!」
彼女が画面を覗き込む。その表情はまるで宝くじの高額当選を確認する人間そのものだった。
相手は、北海道・釧路に住む北見という高専生らしい。
「関西大会の放映、見てました! メカニックとしてのアヤカさんのインタビュー、本当にかっこよくて、自分もそうなりたいって思ってたところなんです!」
「うれしいけど、北海道のチームを応援しなくて大丈夫なの?」
アヤカがすかさず返事を送る。
「北海道って言っても、広いですから! 全国大会に出るのは毎年札幌のチームばかり。他の地域はいつも影が薄いんですよ。それが本当に悔しくて……!」
ただならぬ地元愛。
この瞬間、アヤカの目が一層輝き始めたのが分かった。
「じゃあ、早速オンライン会議しようか!」
アヤカはスマホを片手に、もう片方の手でピースサインを見せてくる。何その自信満々な笑顔。
見てるだけで、なんだか少し元気が出てくる。このメンバーなら、全国大会も悪くないかもしれない。
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