(15)新章挑戦
司会が満面の笑みでマイクを握りしめ、俺たちを見つめる。
「いやー!リュウト選手、激戦を制しての勝利、本当におめでとうございます!それでは、勝利者として何か一言、観客の皆さんにお願いします!」
俺はコックピットから降りたばかりで、まだ息が整わない。胸の上下が自分でも分かるし、足元にわずかな震えが残っている。マイクを手渡され、観客席を見上げた瞬間、無数の視線が一斉に俺へと注がれる。やべぇ、こんな光景、人生で初めてだ。
喉を鳴らしながら、どうにか声を絞り出す。
「えっと…みんなの応援が力になりました。ありがとう!次も頑張ります!」
…シンプルすぎる。いや、ありきたりすぎるだろ。自分でもそう思ったけど、頭が真っ白になって、それ以外の言葉が浮かばなかった。
観客席からは温かい拍手が湧き上がる。マイクを司会に返すと、ようやく少し肩の力が抜けた。
その直後、事務スタッフがタブレットを片手に近づいてくる。
「リュウト選手、ルナ選手、おめでとうございます!ここで重要なお知らせがあります。全国大会への出場資格を獲得されましたが、次の試合は三対三のチーム戦となります。」
…また、新しい仲間を探すのかよ。
スタッフはお構いなしに続ける。
「三人目の登録期限は全国大会の一ヶ月前、つまり11月初旬までです。また、開催地は北海道の旭川、大雪山エリア。したがって、機体の寒冷地仕様が必要になります。」
北海道、大雪山…寒冷地仕様?え、そんなの考えたこともないぞ。頭の中が「寒冷地」って単語でいっぱいになり、思考が空回りする。
隣で話を聞いていたアヤカが腕を組み、少し苦笑いしながらつぶやいた。
「寒冷地仕様かぁ。和歌山、雪降らないから全然馴染みないよね…どこから手をつけよう?」
ルナも不安そうに目を伏せる。
俺は大きく息を吐き、無理やり笑顔を作った。
「まあ、何とかするしかないだろ。まずは寒冷地対策の準備と、三人目の候補探しだな。」
そう言ったものの、自分の声にこもる自信のなさが分かる。あー、情けねぇ。でも、弱音を吐いてる暇はない。
観客席からは早くも次の戦いを期待する声援が飛んでくる。その熱気を背中に受けながら、俺たちは互いの顔を見て小さく頷いた。
この勝利の余韻に浸る間もなく、新たな挑戦が待っている――また、ゼロからのスタートだ。
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