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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第一章 蒼白の月鋼機
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(2)共闘結成

 タッグを組む相方を探すために、スペースポートのコネを総動員した。

 北海道、大分、九州の主要な関係者にも連絡を取った。


 でも、返ってくる答えは決まって同じだった。


 「地元の選手をサポートするのが最優先なんでね。」


 そりゃ、そうだよな。

 俺だって逆の立場なら、同じことを言う。


 アヤカもオンラインの高専仲間に声をかけてくれたけど、結果は――空振り。


 「ルナドライブなんて持ってる学生、いるわけないじゃない。あれ、いくらすると思ってんのよ。」


 ――八方塞がりだった。


 スペースポートのジャンクヤードも何度も探したけど、奇跡みたいな話が起こるわけもない。俺たちはただ、じわじわと無力感に押しつぶされていった。


 「もう無理か…」


 そんな言葉が思わず漏れそうになった、そのとき――


 「あっついわ~!ほんま日差し強すぎやろ!」


 突然、陽気な声が響いた。


 振り返ると、そこに立っていたのは――

 ユイ。決勝戦で俺たちと戦った、シラハマ三号のパイロットだ。


 「…なんだよ、決勝戦のクレームでも言いに来たのか?」

 俺は半分疲れながらつぶやく。


 すると、ユイは俺の予想をあっさり裏切る笑顔を見せた。


 「ちょっとええ話があんねん。そんなんちゃうで!」


 まるで、とびきり面白い提案でも持ってきたかのような顔をしている。でも、まさかタッグを組むために来た、なんてありえないよな…と、思ってたら、案の定だった。


 「タッグ組んでくれるんちゃうか?なんて夢見とるかもしれんけどな、あんたらにキツくやられたせいで、機体の修理が間に合わへんねん。」


 その言葉に、一瞬、心臓が跳ねる。


 「ルナドライブだけ貸せや、っていうのももちろん無理や。地元の中小企業がみんなで出資して手に入れたもんやからな。」


 ――まあ、そりゃそうだろうな。

 そんな簡単にいく話じゃない。


 俺は小さくため息をつく。


 「じゃあ、何しに来たんだよ?」

 眉をひそめて聞くと、ユイはニヤリと笑った。


 「パワーアップや!」


 「…は?」


 予想外の返答に、思わず固まる俺。


 「県代表やろ?お前ら、和歌山の名前を関西に知らしめてこいや!」

 「近畿のおまけとか、みかんと海しかないとか言わせんな!」


 その勢いに押されて、俺はつい背筋を伸ばしてしまった。

 なんだよ、この説得力。


 「でもさ、その『パワーアップ』って具体的にどうするんだよ?何か用意がいるのか?」


 「なんや!金のこと気にしとんのか?」

 「成功報酬でええっちゅうねん!」


 「ウチは中小企業でスポンサーする余裕なんかあらへんけどな、関西大会で優勝したら、そのときに分け前くれたらそれで十分や。」


 ユイの顔は、真剣そのものだった。


 「金の匂いがせんのに動くほど、ウチは人がええわけちゃうんやで。ラスベガスで一発逆転狙うくらい、金は好きやけどな!」


 そう言って、ユイはニヤリと笑う。冗談めかしてるけど、目は本気だ。


 「…なるほど。面白そうじゃん。」


 自然と口元が緩むのを感じた。


 ユイの熱意が伝わる。

 そして、胸の奥でくすぶっていた何かが――

 再び燃え上がるのを感じた。


 俺たちは、まだ戦える。

 いや、もっと強くなれるんだ。

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@chocola_carlyle

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