(2)共闘結成
タッグを組む相方を探すために、スペースポートのコネを総動員した。
北海道、大分、九州の主要な関係者にも連絡を取った。
でも、返ってくる答えは決まって同じだった。
「地元の選手をサポートするのが最優先なんでね。」
そりゃ、そうだよな。
俺だって逆の立場なら、同じことを言う。
アヤカもオンラインの高専仲間に声をかけてくれたけど、結果は――空振り。
「ルナドライブなんて持ってる学生、いるわけないじゃない。あれ、いくらすると思ってんのよ。」
――八方塞がりだった。
スペースポートのジャンクヤードも何度も探したけど、奇跡みたいな話が起こるわけもない。俺たちはただ、じわじわと無力感に押しつぶされていった。
「もう無理か…」
そんな言葉が思わず漏れそうになった、そのとき――
「あっついわ~!ほんま日差し強すぎやろ!」
突然、陽気な声が響いた。
振り返ると、そこに立っていたのは――
ユイ。決勝戦で俺たちと戦った、シラハマ三号のパイロットだ。
「…なんだよ、決勝戦のクレームでも言いに来たのか?」
俺は半分疲れながらつぶやく。
すると、ユイは俺の予想をあっさり裏切る笑顔を見せた。
「ちょっとええ話があんねん。そんなんちゃうで!」
まるで、とびきり面白い提案でも持ってきたかのような顔をしている。でも、まさかタッグを組むために来た、なんてありえないよな…と、思ってたら、案の定だった。
「タッグ組んでくれるんちゃうか?なんて夢見とるかもしれんけどな、あんたらにキツくやられたせいで、機体の修理が間に合わへんねん。」
その言葉に、一瞬、心臓が跳ねる。
「ルナドライブだけ貸せや、っていうのももちろん無理や。地元の中小企業がみんなで出資して手に入れたもんやからな。」
――まあ、そりゃそうだろうな。
そんな簡単にいく話じゃない。
俺は小さくため息をつく。
「じゃあ、何しに来たんだよ?」
眉をひそめて聞くと、ユイはニヤリと笑った。
「パワーアップや!」
「…は?」
予想外の返答に、思わず固まる俺。
「県代表やろ?お前ら、和歌山の名前を関西に知らしめてこいや!」
「近畿のおまけとか、みかんと海しかないとか言わせんな!」
その勢いに押されて、俺はつい背筋を伸ばしてしまった。
なんだよ、この説得力。
「でもさ、その『パワーアップ』って具体的にどうするんだよ?何か用意がいるのか?」
「なんや!金のこと気にしとんのか?」
「成功報酬でええっちゅうねん!」
「ウチは中小企業でスポンサーする余裕なんかあらへんけどな、関西大会で優勝したら、そのときに分け前くれたらそれで十分や。」
ユイの顔は、真剣そのものだった。
「金の匂いがせんのに動くほど、ウチは人がええわけちゃうんやで。ラスベガスで一発逆転狙うくらい、金は好きやけどな!」
そう言って、ユイはニヤリと笑う。冗談めかしてるけど、目は本気だ。
「…なるほど。面白そうじゃん。」
自然と口元が緩むのを感じた。
ユイの熱意が伝わる。
そして、胸の奥でくすぶっていた何かが――
再び燃え上がるのを感じた。
俺たちは、まだ戦える。
いや、もっと強くなれるんだ。
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