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鋼月の軌跡  作者: チョコレ
第三章 黒銀の断罪機
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(29)星闘決戦

 ブラジル戦から三日後、いよいよ準々決勝がやってきた。リングのライトが鮮やかに切り替わり、司会者のエネルギッシュな声が宇宙アリーナに響き渡る。


「さあ、お待たせしました!ベストエイト戦、次なる対戦カードは――日本チーム対アメリカチーム!昨年の優勝チームが、今年も連覇を狙って戻ってきました!」

 その言葉に、観客席から大歓声が沸き上がる。アメリカチームの派手なエンブレムがスクリーンに映し出され、続いて彼らの機体――リバティガーディアンの姿が現れる。星条旗をイメージしたデザインが輝き、機体の曲線美と圧倒的な存在感が画面越しでも伝わってくる。


「こちらがアメリカ代表チームです!」

 司会が煽るように続け、解説席の月面評議会のセレナが口を開いた。


「リバティガーディアンは、昨年の優勝時からさらなる改良を重ねています。特に新たに搭載されたエネルギーシールドの改良と、攻撃パターンの多様化が目を引きますね。」

 セレナの穏やかな声に、場内の期待感が一層高まる。


「加えて、このチームは昨年の月面大会でも好成績を収めており、今回の世界大会ではその経験を活かし、さらに進化した戦術を披露してくれるでしょう。」

 解説の言葉に、観客のざわめきが広がる。


 画面には次々とアメリカチームのパイロットたちの紹介が映し出される。身長も表情もまるで映画のヒーローたちのようで、それぞれが堂々としたポーズを決めている。司会が熱のこもった声で一人一人を紹介していく。


「まずはチームリーダー、ジョナサン・クルーガー!パワーと技術を兼ね備えたアメリカのエース!次に、冷静沈着なナビゲーター、サラ・リード!そして、爆発的な攻撃力を誇るストライカー、ライアン・ブラック!」


「昨年もこの三人で優勝を勝ち取ったチームです。今年もまた、彼らがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、大いに期待がかかります!」

 司会の声が高まるたびに、観客席から拍手と歓声が響き渡る。


 俺たちのチームの紹介が終わったばかりなのに、この盛り上がりはどうだ。俺たちと比較して、アメリカチームの注目度が段違いなのが痛いほど伝わってくる。


「…勝てんのかよ、こんなの。」

 俺の中でそんな弱音が頭をよぎる。


「勝てるさ!」

 背後から響いたのは、あの陽気な声――フェルディナンドさんだ。振り返ると、彼はいつもの笑顔で俺たちを見下ろしていた。


「アメコミ野郎をぶっ倒してこい!あいつらの派手な見せ場なんざ、宇宙の塵にしちまえ!」

 拳を握りしめてそう叫ぶフェルディナンドさん。その姿を見ていると、なぜか少しだけ勇気が湧いてきた。


 隣でアヤカが軽く笑いながら言った。「だよね。負ける気なんて最初からなかったし、負ける気でここまで来てないもん。」


 一方でルナは静かに頷きながら、優しい声で言葉を紡ぐ。「リュウトさん、私たちは私たちの戦いをすればいいんです。実績とか人気とか、そんなものに怯える必要はありません。」


 その言葉に、俺は思わず深呼吸をした。そうだ、ここに来るまでの努力を無駄にするわけにはいかない。目の前のリングに立つのは俺たちだ。


「では間もなく試合開始です!皆さん、目を離さないでください!」

 司会者の声が場内に響き、リング中央のライトが一斉に灯る。両チームの機体が登場する瞬間を告げる光景に、会場全体が静まり返る。


 俺たちのロードラストがゆっくりと姿を現す。その青白い光が、リバティガーディアンの派手な輝きと対比しながら戦場の緊張感を高めていく。


「行くぞ。」

 俺は操縦桿を握りしめ、心の中で覚悟を固めた。敵がどれだけ強かろうと、ここで怯むわけにはいかない。このステージに立つ限り、全力で戦う。それだけが俺たちの答えだ。

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@chocola_carlyle

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