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旅行、もとい護衛任務での旅の準備で、不動産屋にハスマを訪ねて、シェアハウスの契約延長の手続きをした。
「え?これから1カ月以上留守にするのに、2ヶ月分払うんですか?」
「だって、もしかしたらトラブルで早く戻ることもあるかもしれないし。なかなか宿が取れない状況のままだから、この部屋は押さえておいて欲しい。」
学生の皆は、1年契約で休暇分も考慮された金額を払っているらしいけど、俺はそうはいかないからな。
「う〜ん、なるほど。分かりました。では私の方で当初から3カ月契約ということにして、その分は割引きさせていただきますね。」
「ええっ、そんなことできるんだ!ハスマさんありがとう。助かる。」
感謝する俺に、ハスマは満面の笑顔で揉み手をしていた。
「いえいえ、こちらこそご利用ありがとうございます。当社チェーン店のシェアハウスをご利用の際は、是非!ハスマの紹介と伝えてくださいね。」
あ……察し。これがやり手の営業トークというやつか。もし俺が不動産屋に就職したら、こういう風にやれるだろうか。いや、無理だな。
次に貸し道具屋に行き、テントを借りたいとお願いした。
俺の持ってるのがひとつ、ふたりずつ一緒に寝るとしても、あとふたつ必要だからな。
店員は愛想よくカタログを見せてくれた。
「こちらの防犯機能付きテントが人気の商品となっております。あと薄型の折りたたみマットとブランケット、枕、簡易ランプをセットにしたものも付けることができますよ。紛失補償もついて、今なら割引キャンペーン中です。」
流れるようなセールストークだ。よく内容を覚えてるよな。今日はこんなのばかりなのか。
んー、まあキャンプ場がいっぱいで、森に泊まらなきゃならない時には、こんなセットが必要なのかなぁ。
俺のマジックバッグは容量無限らしいから、ふたつセットで借りておくか。
バンシルのワーウルフ大量発生事件の討伐参加で、また王から太っ腹な褒賞を貰っていたので、多少の経費オーバーも問題はない。
しかし、あのワーウルフ大量発生は、俺をあのダンジョンに呼び付けるものだったとは…王様、褒賞貰っちゃってごめんなさい!返さないけど!!
俺はここにいないバルマス王に心の中で謝って、テントのセットをふたつと、5人分のブランケット等も借りた。
あとは食材や、彼らが使う簡易食器類も買っておこう。特に食材は、先日の歓迎会で使い切ったからな。多めに買っておくか。さすがにそこではセールストークを聞くことは無いだろう。
……確かに、そこではセールストークは無かった。
俺は食料品店で遭遇した、この旅行の為に一体何ヶ月分の食材を買うんだ、というくらいハイになっていたジェリコを必死で止めなければならなかった。
俺と、落ち着いたジェリコは買い物を済ませて、シェアハウスへの帰路についた。
帰ったら、一応皆の持ち物チェックもしなきゃな。きっとジェリコみたいに旅行慣れしていないから。
そして、マイルのバッグ5つ分の荷物に頭を抱えることになろうとは、その時点ではまだ思いもよらなかった……




