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そして俺は熱を出した。ホロウサのおばばの言った通りだ。
うっかり窓を開けたまま寝てしまったからかな。初夏とはいえ、この世界の北にあるこの地は、朝晩は結構冷えるのだ。
今日は授業は昼からだというマイルが、熱に効く薬草茶を淹れてくれたおかげで、熱はすぐ下がって気分もスッキリした。これ、ポーションより身体に良い気がするな。
マイルは苦笑しながら、「昨夜の皆の熱意に当てられてしまったのかもしれませんね。」と言っていた。
「ところでエイトさん、どうしましょう?教授のところに来ていただくのは明日にしましょうか?」
「いや大丈夫。おかげで治ったから、今から行こう。」
俺たちは旅の準備の為に出かけた。
まずは、マイルを助手にしているという教授に会いに行くのだ。
マイルに案内してもらい学術施設に行く。
うわ…なんかほんとに大学って感じがする。
違う地域での施設で講座を受けたこともあるが、そことどこか似てるもんだな。まあ一般的な形なのかもしれない。
『薬草学』とプレートに書かれた部屋に入る。そこで初老の男性が俺たちを待っていた。
シンラというその教授は、にこやかに俺と握手し、ソファに座るよう勧めてくれた。
出された飲み物はコーヒーに似たこの世界のものだ。淹れるのに割と手間がかかるので、カフェに行った時に飲むくらいだから久しぶりだな。
「私は長年植物の薬効を研究していてね。マイル君が話した通り、今はサボテンの有用性を研究しているのだよ。だがここでは生憎サボテンがほとんど手に入らない。欲しがる人がいないからね。」
教授は悲しそうに頭を振り、話を続けた。
「しかし、マイル君の知り合いがフィルマルトに行くと言うじゃないか!これは渡りに船だ。神の計らいだ。頼むエイト君!マイル君を同行させてくれ。そうすればマイル君が、私に必要なサボテンを確実に選んで持ち帰ってくれるんだ。」
熱っぽく語るシンラに俺は少し引き気味だった。でも研究者って大体こんな感じだ。
「分かりました。マイルが大丈夫ならお引き受けします。ただ、彼のシェアメイトも同行したいと言っています。今からギルドに来ていただいて、依頼と保証人の契約をしていただけますか?それが俺の条件です。」
マイルは23歳で俺より年上だが、あとは皆10代だ。一応責任者の保証がいる。
「そうか。別に構わんよ。夏休みの補講として、彼らの親にも伝えておこう。君はレベル30の勇者でエルフと友達だと聞いた。君とマイル君がいれば、安全面で心配もないだろう。」
軽いなこの教授。自分の研究さえ捗れば、後は些細なことなんだろう。まあいいか、保証人になってくれるなら。
俺たちはそのままギルドに行き、教授に依頼書を記載してもらい、その場で俺が依頼として受けた。
依頼料は俺のもうひと月分のシェアハウス費の4ゴールド+経費として2ゴールドの6ゴールドとした。
依頼料としては格安なので教授は喜んでいた。
俺としてはそれぐらいでいい。旅の経費は皆それぞれで出すことが約束だし、経費の2ゴールドはハクのリンゴ代がメインだ。
これで手続きは済んだ。後は旅支度の諸々だな。
野宿があると思うから、テントがあと2つは必要だな。レンタルにしようか。どうせここに帰ってくるんだし。
授業の為に戻ってゆく教授とマイルを見送り、そんなことを考えながら、俺は商店街に向かうのだった。




