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バンシルまで戻ってきたのでせっかくだ、ミンディに会っておこう。
彼女は友人のドルマの親類だ。以前ドルマに頼まれて、ガザールからバンシルの彼女の家まで送り届けたんだ。
あの乗合馬車の旅は楽しかったな。
でも、治癒士を目指す彼女の勉強に関する話は難しすぎて、全く分からなかったのが申し訳なかったくらい。
ミンディの家に行くと彼女の母親が出てきて、お久しぶりですと言ってくれた。送ってきた時のこと、覚えていてくれたんだな。
「わぁ、エイトさんだ!びっくりした!」
そう言いながらのミンディの弾けるような笑顔にこちらも笑顔になる。
「ミンディ、久しぶりだな。元気だった?友達が来てる時に来ちゃってごめん。ちょっとバンシルに立ち寄ったからさ。」
ミンディの横にはショートカットの女の子がいた。彼女は同級生のユイと名乗った。同じクラスの親友だそうだ。
俺たちはミンディの案内で、クレープの食べ歩きをすることになった。バンシルには食事系のクレープを出す店やスイーツ系の店もあり、彼女らが好きなのはスイーツ系だって。
「でもエイトさんはお食事系のソースのが好きなんでしたよね!そちらに先に行きましょう!」
「へ〜。ミンディ、よく覚えてるな。」
馬車の中での会話を覚えていた彼女は、特にお勧めの店に案内するという。あ、ここは俺も好きな店だ。
俺たちはテーブルをひとつ陣取り、それぞれ好きなクレープを注文した。俺はいつものお好み焼きっぽいものだ。
「これも、これも美味しいんですよ!」とメニューを指差しながらキャッキャしているミンディ。
ペロリとひとつ食べてしまい、追加の注文に行ったミンディを微笑ましく見ていると、ユイが俺に話しかけてきた。
「ミンディってばね〜、何かと言うとエイトさんの話をしてくるのよ。旅が楽しかったんだって。あれは旅のことだけじゃないと思うんだけどな〜。」
意味深に言ってニマリと笑うユイ。
そして彼女は、戻ってきて座ろうとしていたミンディに話しかけた。
「ミンディ、大好きなエイトさんにまた会えて良かったね〜。」
「ちょっ、ユイ!何言ってるの!?」
真っ赤になって焦ったミンディは、座り損ねて椅子ごとひっくり返ってた。
「ミンディ、大丈夫か?」
声をかけて引っ張り起こすと、恥ずかしかったのか、さらに真っ赤になってゆく。
「だ…大丈夫…です……」
「良かった。気をつけてね、ミンディ。」
俺たちはその後、他の店のクレープも食べ歩いて楽しく過ごした。
彼女たちをミンディの家に送り、じゃあねと手を振った。ミンディは笑顔で大きく手を振り返してくれた。
さあ、ワーウルフの件は片付いてギルドで褒賞も受け取ったことだし、明日はまたオクハリに戻るか。
オクハリといえば、俺はあのエルフファンクラブの面々の顔を思い浮かべた。
……いや、あそこでの用事は済んだんだ。逃げるわけじゃないが、もう少し先に進んでおくか。
そんなことを考えながら夕暮れの中を歩く俺に、どこか遠くから犬の遠吠えが聞こえていた。




