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今日はハクとデートなのだ。というより、今日も、か。
街道から向かって右側の森に入り、早速ハクを呼び出した。指輪をはめるといつものように空間が歪み、ユニコーンのダイハクリョクが飛び出してきた。
「ハク!会いたかったよ!」 顔に抱きつき、さっそくオレンジをあげる俺。鼻を触るとぷにゅぷにゅしていて気持ちいい。
しかし、俺のハクへのメロメロっぷりに、最近アドは呆れきっているようだが気にしない。
愛嬌たっぷりに顔をすりすりしてきたハクの、大きな背中に飛び乗った。長いたてがみが編み込まれていて、そこに先日ピクシーたちからもらった花飾りのリボンが揺れている。
ハクの世話をしているエルフが、毎日リボンの位置を変えていて楽しんでいるようだ。
今日はまた森を突っ切って、湖のこの辺りの様子を見に行ってみるつもりだ。
ハクは1時間しか人間界に来ることができない。
最近気がついたことだが、ばん馬サイズのこのユニコーンに、少し遠いが行きたいという場所を伝えてみると、必ず目的地辺りに到着してしまうのだ。
途中、あんなに何度も止まっては草をもぐもぐしているというのに、俺が歩くと4〜5時間くらいの距離程度なら軽々の様子。
エルフのユニコーン、優秀極まりない。可愛いし。
「ハク、このまま湖まで行ってくれるかな。ちょっと様子が見たいんだよ。」
ハクはいつものように、分かったというふうにいなないて、パッカパッカとのんびり歩き始めた。
このゆったりした感じが、ほんと癒されるよな。
森を抜け、湖の波打ち際まで到着した。
うーん、今はなんの異変も無いようだな。先日異変を見た時は、もっと遅い時間だったかもしれない。
ハクは、波打ち際で嬉しそうに、蹄で水を蹴り上げている。と思ったら、そこでゴロンゴロンし始めた!
「わっ!ハク、お前泥だらけになっちゃうぞ!」
慌てて止めようとする俺。美しいものが好きなエルフの所有するユニコーンだ。汚して帰したら怒られる!
ハクは起き上がり、大きな瞳でこちらを見て「大丈夫」というようにぶるると鼻を鳴らした。そして軽くその巨体を揺らすと、そこには一寸の汚れもない、白い馬体のハクがいた。
「ハク、これだといくら汚れても平気だな。」
俺は笑って、バッグから取り出したオレンジをふたつあげた。
波打ち際から少し離れたところに座り、湖を見つめる俺に寄り添うようにしゃがみこんだハク。
そろそろ帰ろうよというように、俺のマントを咥えて引っ張った。
そうか、ハクは帰ってしまう前に、俺を街道辺りまで送ってくれるつもりなのか。なんて良い子なんだ!その上可愛いなんて、ほんとたまらんよな。
ハクに会わせてくれた、白銀のエルフの王にはもう感謝しかない。
帰路にハクに聞いてみた。
「ハクはさ、もしかしてダンジョンの中でも平気なのかな?」
ハクは分からないという感じに首を傾げた。
そうだよな、地下を嫌うエルフのユニコーンだ。それにダンジョンの中じゃハクは大きすぎて動けないだろう。
俺はダンジョンの狭い通路にぎゅむっと挟まって動けないハクを想像してしまい、思わず声をあげて笑った。
ハクは俺が笑ったのが嬉しいのか、楽しげにいなないていた。




