↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/177

page.63

聖女テレンツィアの部屋は、この教会の一番奥なので少し遠いですが…と言うターラントの後を歩き続けた。

体感にして、30分以上歩いていた気がする。


やがてターラントは、精巧な細工が施された黒塗りの大きな扉の前で立ち止まった。ここだけ今まで見てきた扉とは雰囲気が違う。


そして、今まで穏やかだった彼の空気がピリリとしたものに変わった。


「エイトさん。ここに入る前にお伝えしておくことがあります。」


ターラントは真剣な表情で語り始めた。


「聖女テレンツィアは、目が見えず、耳も聞こえず、話すこともできません。会話は全て念話です。ですので、彼女の前で思ったことは、全て彼女には筒抜けとなります。」


ふぅ、と小さく息をついてから話続ける。


「会話は言葉に出しても構いませんが、その言葉と思念が一致していない場合は彼女に丸わかりです。いいですね?」


俺はゴクリと息を呑んだ。


「ご忠告ありがとうございます。気をつけます。」


ターラントはしばらく俺を見つめてから、聖女テレンツィアに声をかけた。


「聖女テレンツィア。勇者エイトをお連れしました。」


『……どうぞ、お入りください』


その言葉は直接頭の中にふわりと響いてきた。まるでアドと話している時のようだ。


ターラントはゆっくりと扉を開けた。その奥にはもうひとつ扉があり、そこを開くと祈りの場のようだ。

その中央の床に女性が座っていた。


聖女テレンツィア。

その瞳は固く閉じられている。

柔らかく長い金髪と、細くて白い手。とてもきれいな女性だ。


ターラントは彼女のそばに行き、優しく彼女の手を取り立ち上がらせて、その部屋の奥に置かれているソファに導いた。


俺は分かった気がした。ターラントは彼女のことを、聖女としてだけではなく、とても大切な存在として守っている。

だからあんなに真剣になっていたんだ。そして、ここに来るまでの俺との会話は、俺がどんな人物かを確認するためのものだったのだろう。


ターラントは俺を手招きして、彼女の向かいのソファに座るよう促した。


「勇者エイト。ここからは聖女テレンツィアとあなたのふたりだけとなります。私は隣の部屋に控えておりますので、何かあったら声をかけてください。貴方がたの会話は私には聞こえませんので、彼女の言うことをよく聞いておくようにお願い致します。」


俺はターラントに礼を言い、聖女テレンツィアに向き合った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。