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案内された城の応接間で、俺はひとりで白銀のエルフの王と王妃に謁見することになった。
ファイエルはというと、彼らに俺を紹介した後に静かに退出していったのだ。おーいファイエル!こんな場に置いておかれるとめっちゃ不安なんですけど…
そして俺は王に促され、彼らと向かい合わせにソファに腰掛けた。
このソファ、ふわふわしていて気持ちいいな。人間をダメにするタイプのやつだ。
白銀のエルフの中でも、王族であるおふたりは、さすがにファイエル以上の美貌を持っていた。
目の保養…なんて言葉は生ぬるい、ぬるすぎる。
ファイエルも相当な美形だが、それ以上の美貌に威厳が加わり、筆舌尽くすも表現できない程の、まさに怖いほどの美の結晶だ。
そして、王はにこやかに俺に挨拶してくれたが、王妃は黙って冷ややかにこちらを見ている。
…怖いので、とりあえず王妃は見ないことにしよう。
「そなたは勇者なのだな…ファイエルからは、我らの姫を探すことに協力してもらえる人間だと、そう聞いている。ありがたい申し出だが…正直に言わせてもらうと、我らの事情にそなたを頼ってよいものか。そう、迷いがあるのだ。」
王の言葉に心労が見える。家出したまま戻ってこない姫のことが相当辛いようだ。
「しかし、姫の婚約者候補であるファイエルはそなたを信じたいと我らに訴え出た。それならば一度、そなたと話をしてみようと思ったのだ。そなたはどうだ?本気で我々の期待に答えてくれる気はあるのだろうか。」
「陛下。恐れながら申し上げますが、俺にはひとつ心当たりがあります。友人が見つけてくれた可能性で、まだ確信は無いのですが、とにかくやってみる価値はありそうです。」
俺は緊張しつつバイナに聞いた話を伝え、姫がダンジョンに隠れている可能性について告げた。
「…あの子が……ダンジョンに……?」
王妃が信じられないという感じに呟く。地下を嫌うエルフが、ダンジョンに潜るなんてありえないのだ。
彼女のその、この世のものとは思えない美貌は、震える声とともに憂いを帯び曇ってゆく。
「ファイエルに、エルフの探査能力をもってしても、姫の所在は分からなかったと聞いています。地上で見つからないとなると、後はエルフが探査をしないだろうダンジョンの地下。もう、そこしかないのではと、俺は考えています。」
俺は身を乗り出して言った。
「俺にこの国のダンジョン探索をさせていただけませんか?正直言って、必ず見つけるとはお約束はできません。ですが、可能性のひとつとして。」
俺とて姫が見つからないと困るのだ。彼女はドラゴン攻略のパーティーメンバーとなるのだから。
俺の真剣な様を見て、王と王妃は頷きあい、俺に向き合った。
「確かに、姫は時々思いもよらない行動をする。今回も、早めに婚約者だけは決めておこうと、そう思っただけであった。まさかそれで家出をしてしまうとは…我らは短慮であった。」
王は深くため息をついた。
「そなたのいう通り、ダンジョンに居るかもしれんな。そしてもしかすると、出る方法が分からず泣いているやもしれん。」
その王の言葉に、王妃は肩を震わせ涙を零し始めた。彼女が黙っていたのは、ただその辛さを堪えていたようだ。
「勇者エイトよ。そなたに苦労をかけて申し訳ないが、ダンジョンの探索をお願いしてもよいだろうか。必要なものがあれば揃えよう。…よろしく頼む。」
交渉は成立した。城の中に滞在用の部屋が用意されたので、俺はそこでダンジョンの探索準備を始めるのだった。




