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魔族の瘴気に当てられたのか、足取り重く歩いていた俺は、森の中の大きな木を背に座り込んだ。
回復用のポーションを取り出し、一気にあおる。
「ふぅ…」
少し話をしただけなのに、威圧感でこんなに疲労するとはな……あの魔族はただ者ではないのが分かる。
「なあ…アド。さっきの魔族のこと、どう思う?」
『どう、とは?彼の言っていたままではないですか?』
アドは相変わらず適当な返事をする。
「いや、俺にはよく分からないんだ。俺のじゃまをしないよう言われている?誰に?それも、この本の強制力なのか?」
『エイト、あの魔族もただの登場人物ですよ。そんなに気にしなくてもよいのでは?』
いやアド…お前、あんな魔族の扱いもそんな雑でいいのかよ。
「それはそうと、さっきのダンジョンは攻略しなくても良いものだったのか?」
『あら?あそこに戻りたいと?』
ゔっ……
「…いや、今はやめておく。まだあいつがいるかもしれないからな。」
あの魔族のことは、もしまた会うことになったら考えよう。その時はもっと情報を聞き出してみせる!と思う…たぶん。
『もしかして、エイトビビっちゃってますかぁ〜?』
こんな時までからかってくるのかよ。
「あんなんビビるに決まってるだろ!俺は普通の大学3年生なんだぞ!!」
『な〜んだ、つまんないですねぇ。俺に任せろ、とか言わないのですか?』
「怖くて言えるか!!!」
『ふふ、もちろん冗談です。放っておいて正解ですよ。絡んだところでストーリーは進みませんから。』
それもそうだな、とよいしょと腰をあげる俺だった。
その後は特にトラブルもなく旅は進み、3日後の夜に目的地のボードラ村に到着した。ただし村には宿が無いので、近くの森で野宿だ。
ミリアムさんにお借りしているテントを張り、ランプを灯し、遠くに虫の音を聞きながら、温かいお茶を淹れて飲む。
夜空には満天に煌めく星々。
バルマス王国の南部にあるムユツミの森からスタートしたこの本のストーリー。いつの間にか、その王国の北の端まで旅してきたんだな。
明日にはいよいよ国境を越えて、クーリガルド正教国の唯一の都市、チャーションに行くぞ。




