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page.39

「は〜、やっぱ落ち着くぅ〜〜〜。」


ガザールの高級宿の一室で、マントや防具を外すやいなや、俺はベッドの上に大の字でゴロンと寝転がった。


ブシュタールから徒歩だと12日の道のりを、ちょいちょい風魔法も使いながら、10日で到着したのだ。

勇者の記憶だとこんな旅は何度も経験あるが、俺にとっては徒歩の旅なんて初めてだったし。



ガザールに到着してすぐに、冒険者ギルドに寄ってきた。先日会ったコボルトとの約束の為だ。


受付のカリンに話すと、彼女はそれならうってつけの冒険者がいると言い、ギルド内のカフェでお茶していた人を呼び出した。


「エルダン、今急ぎの依頼はある?ちょっと聞いて欲しい話があるのよ。」


エルダンと呼ばれた女性は白魔導士のようだ。

全身白の装いで、白いつば広ハットで顔を半分隠しているが、それでもかなりの美人に見える。


「残念ながら暇よ。カリン、何か仕事があるの?」


「ええ、良い依頼よ。」


カリンはエルダンに、ダンジョンに居るコボルトを逃がすという俺の依頼を伝えた。エルダンは俺に微笑み、「詳しい話を聞かせてくれる?」と言った。

ギルドを通しての正式な依頼にするため、まずカリンに手数料を払う。カリンから受け取った依頼用書類に内容を記入し、エルダンにカフェでそれを渡し説明した。


「そんなのお安いご用ですわ。迷子の犬探しということにして、飼い主の元に返すからと言っておけばいいのね?それからそのコボルトの言うところに連れて行ってお別れね。」


飲み込みの早い女性だ。しかも白魔導士とあれば、あの子たちの親も信用するだろう。


「ああ、よろしく頼む。」


よし、これでコボルトの件は解決だ。


俺はエルダンに依頼料として5ゴールドを渡し、握手をした。

ふんわりと笑う彼女のその手は柔らかく、ちょっと良い香りがしていた。


『エイト、なんだかデレてないですかぁ〜!?』


すかさず突っ込んでくるアド。ええい、うるさい。俺だってたまには美人と話したいんだ。



受け付けに戻り、今度は宿の相談だ。


「今ねぇ、クーリガルドへの旅行者がとても増えていて、ここもほとんどの宿に空きがない状態が続いているんですよね。」


え〜!?こんな大きめの都市に着いたのに、また森で野宿なのかよ!オーバーツーリズムめ!!


どうしたものかと悩んでいると、大丈夫ですよとにっこり笑うカリン。なんでも、蒼のエルフの長アマルガリタが、勇者エイトがいつ来ても宿泊できるよう、あらかじめ宿を手配しているからとのこと。

そういえば便宜を図ると言ってくれてたな。


ということは、エルフの国に着くまで、各都市での宿の心配はしなくていいということか!

ありがとう、おばちゃん!


ということで、その宿を教えてもらって、今は部屋でゴロゴロしているというわけだ。



寝転びながら、次の移動について考えてみる。

このガザールから次の都市のバンシルまでは約500キロ。さすがに馬車での移動じゃないとキツいな。明日またギルドで移動方法について相談してみよう。


ま、今日明日くらいはここでのんびりしよう。

食事や風呂が楽しみだなー。旅の間では食べられなかったチーズ食いたい。


とりあえず、身軽になるため着替えを出して、本格的にくつろぐ用意をするのだった。

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