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俺とアルマスは、洞窟のようなその穴に近づいていった。
そっと中を覗く。ヒカリゴケが生えているのか、見える範囲の洞窟内は暗くは無さそうだ。でも念の為にランプを用意しておくか…
「勇者エイト!さあ早く入りましょう!」
ずかずか中に入って行ってしまう勇者アルマス。
えええ!なんの警戒も無しかよ!
とりあえず彼を捕まえようと、追うように中に入ったその瞬間。
『ピンポンパンポーン♪えーテステス、テステス、ただいまマイクのテスト中〜。さぁて皆様お待ちかね!お久しぶりの《選択》タイム!!!アドベンチャーゲームブックと言えばこれ!選んだページで行き先が変わる!エイトの運命のショーーーターーーーーイムッ!!!』
「ちょっ…アド!今かよ!!!この忙しい時に!」
脳内に響き渡るアドの声に、俺は抗議した。
『さてエイト、あなたはアドベンチャーゲームブックのページを選択し、先に進まなければなりません。どれを選びますか?』
当然のように俺の抗議は無視される。
空中にスクリーンが浮かび、選択肢が表示された。
―25ページへすすむ→
―42ページへすすむ→
―71ページへすすむ→
「勇者エイト。どうされました?突然大声で何を?」
アルマスの声にハッとする。そうだこいつがいたんだった。彼は俺の大声に立ち止まり、キョトンとしてこちらを見ている。
うーん…でも選択肢を無視することはできないんだよな。ということは罠にかかるとこいつも巻き添えということか。ここは慎重に選ばないと。
とはいえ、ノーヒントの無慈悲な選択肢だ。
結局は勘!
「よし、アド!71ページだ。」
『畏まりました。ではエイトを71ページに転移します』
―転移した先には扉があった。
俺は迷いなくそれを開き、アルマスも続く。
突然四方八方から多数の矢が飛び出し、容赦なく体を貫いてゆく。
「ぐっ、ぐぁああああ!!!」
全身にささる矢の激しい痛みと苦しみの中、倒れ込んだ俺たちの意識は静かに消えていった…
〈終〉
「……ぐわっ!いてっ痛てて!!!全身痛いぞアド!!!」
いつものように、転移する前の場所に突っ伏していた俺は、上体を起こしてアドに文句を言う。
「どうされました、勇者エイト。いきなり突っ伏して叫んだりして……?」
その声に弾かれるように見ると、選択する前のままキョトンとしているアルマスの姿。
え…?なんで…??確かにこいつ、俺と一緒に矢に貫かれていたよな……???
「アルマス?お前なんともないのか?」
ますますキョトンとするアルマス。
『彼はエイトとは違って、この本の単なる登場人物ですから。選択肢の影響は受けませんよ』
―ちょっと待て。ということは、アドの選択肢に巻き込まれても、アルマスには影響が残るどころか、まるっきり何も起こっていなかったということになるのか…?
他人を巻き込まずに済むのは、まあ良いことだと思うが―
ずっる!なんかそれめっちゃズルくね!?
なんでそんな理不尽なんだよ!!!
「あ、もしかして勇者エイトは閉所恐怖症なのですか?」
「違ぁぁぁぁあう!!!」
俺は倒れたままプルプル震えながら、キョトンと俺を見ているアルマスを見返して叫ぶのだった。




