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俺はベッドで起きあがり、大きくひとつ伸びをした。
とうとうこのブシュタールを離れてクーリガルドに向かう。
その出発の朝になった。
さて、出発の荷造り…と言っても、持ち物は全部マジックバッグに入れているので、この都市を出るまではそれひとつだ。
エミルと会ってからの出発だが、今日の午前中は服飾士養成施設で授業だと聞いているので、午後から彼のバイト先で会うことになっている。
それまではもう少し買い物だ。雑貨屋でタオルとか欲しいし。
のんびり買い物してから、服飾街にあるオルカンの店にエミルを訪ねた。
エミルはまだ出勤しておらず、店主のオルカンさんに挨拶して追加のズボンを3枚購入した。
「ほら!できたよ。エイトのパーカー!」
出勤してきたエミルは俺を見るなりニカッと笑い、勢いよく袋を突き出してきた。
わ!マジで完成してる!!
フード付き、グレーの長袖ボタンパーカーが!!!
さっそくマントの下に着て、フードは後ろ側に出す。
さっすがエミル様!俺のスカイブルーのロングマントとの色合わせがバッチリだ!
正面に5つ並んで付いてるボタンは、落ちついた茶系の木の実を加工したもののようだ。
エミルによると、このボタンは手触りがよく留め外しがしやすいのが特徴とのこと。
パーカーらしく少しゆったりめだが、ボタンを留めると、シルエットがそこそこすっきりして見える。
やっぱり良いよな、パーカー。
そのリラックスした着心地に安心する。
忙しいエミルが試行錯誤して作ってくれた物だから尚更だ。
オルカンさんも俺が着ているところを見に来て、顎をさすりながら「こりゃ面白い服だな。」とやたら感心していた。
彼も服飾士なので、かなり興味がありそうだな。
「風通しの良い、ちょっとじょうぶな生地にしておいたから。洗濯も楽だよ。」
エミル…お前というやつはほんと至れり尽くせりだな。
嫁に欲しいくらいだ。
「エミル、このパーカー、もちろん大事に着させてもらうよ。」
彼に約束の布と糸の代金、そして別に大きめの布袋を手渡した。
エミルはさっそくその重い袋を開けて、中身に目を輝かせていた。
その中にはたくさんのボタンが入っている。
さっき雑貨屋で購入したものだ。
どんなのがいいか分からなかったから、とりあえず置いてあったもの全部を買い占めてきた。
「また服を作る練習にでも使ってくれ。」
「わあ!エイト、ありがとう!全部、大事に使わせてもらうよ。」
笑顔で袋をぎゅっと抱きしめるエミル。
実は底には、代金とは別に50ゴールドと宝石を少し、こっそり忍ばせている。
また会えるか分からないし、これからの服飾の勉強代に使ってくれればいいと思って。
店の外まで見送りしてくれたオルカンさんとエミルに手を振り、俺はついにブシュタールを出て、クーリガルドへの道を踏み出したのだった。




