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朝からさっそく冒険者ギルドに出向くことにした。
クーリガルド方面の交通がストップしているという、昨夜の噂話を確認するためだ。
ギルドでは、どこでもまず受付で冒険者登録証を提示する。
この登録証は、本人または特殊な魔法を帯びるギルド職員しか触れない。
他の人には名前と職業の部分くらいしか見えないようになっているし、触ろうとすると、それは途端に厚みを失って掴むこともできないのだ。
まあ生年月日等いろいろな情報入っているからな。個人情報の保護は完璧だ。
ちなみにこのカードの提示で割引してくれたり、お金をチャージしてお店で使うと、また買い物に使えるポイントも貯まる。
まあこういう大都市でしか使えないけどね。
しかし、この本の世界、ほんと妙なところだけ設定凝ってやがる。
―こほん、話がそれた。
ギルド受付で噂について聞いてみると、確かにクーリガルド方面は馬車や馬が押さえられていて、なんとか隣の市のガザールまで行く便が一日一本あるくらいとのこと。
それも乗れる人数には限りがあるから、現在は予約制。また、その先はガザールに行ってみてからでないと分からないらしい。
中にはこれを機とみて、自前の馬車を高額で貸し出ししている人もいるとかいないとか。
うーん、弱ったな…風魔法の高速移動でも、一度に移動できるのはせいぜい5キロだ。
まあとりあえず、現在の状況は分かった。
一旦ホテルに戻ると、受付にエミルからの伝言があった。
明日一緒に出かけないか、とのこと。
ここに来る時間も書いてあった。
スマホやLINEがあったら、こんな風に出向かなくてもいいのにな。電話が無い時代の人は、ほんとどうやってたんだろう。用事の度にいちいち走ってたとか?
ちなみに冒険者ギルドには、専用の通信用水晶玉が設置されている。それを使って相手先のギルドに状況を確認することができるのだ。
いいなー、俺もそれ欲しい。
明日エミルが来るなら、ついでだ。買い物に付き合ってもらおう。後で買い物リスト作っておかなきゃな。
さて、今日はもう一つ用事がある。
チェックアウトの時間が過ぎ、落ち着きを取り戻したホテルの受付で、道具屋筋の店について尋ねる。
ミリアムさんにお借りした、ランプやコンロの使い方を聞いておく為だ。
ステータス画面でトリセツ見ることもできるけれど、いざ野外で使用する時に、いちいち開いて確認していられない。先にプロにレクチャーしておいてもらおうという訳だ。
それならブローンさんの店が良いだろうと、場所を教えてもらう。
行ってみると、人の良さそうなおじいさんが経営している店だ。
さっそく話をして、ランプとコンロを見てもらう。
「おお、こりゃ、懐かしいねぇ!」
ブローンさんは相好を崩し、喜んで使い方を教えてくれた。
ランプはゴブリンの魔石ふたつで、2時間は使用できる。オンオフのスイッチのみの簡単操作だ。
コンロはオークの魔石ひとつで、軽く焼き物や煮炊き可能。ゴブリンのものなら4個必要だ。これもオンオフのみで保温する機能は無いらしい。ひとり用だし、もちろんそれで充分だ。
魔石の取り付け方を教えてもらい、スイッチがちゃんと動くかも確認した。
「この時代の品は本当にいいもんだ。最近はピカピカと七色に派手に光るランプやら、色違いや軽量化ばかり充実して、こうしたしっかりした物は少なくなってきた。メンテナンスも完璧だねぇ。」
これらはミリアムさんにお借りしたことをブローンさんに話してみた。
「そうかい、そうかい。ミリアムちゃんがねぇ。あんた相当気に入られたね。」
ブローンさんはミリアムさんとご主人の知り合いだったらしく、ご主人の昔話も少し聞かせてもらった。
これで道具の使い方もばっちりだ。
使うのが楽しみになってきたぞ。




