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「なあ、聞いたか?最近、クーリガルド行きの便がことごとく押さえられてるとよ。」
ホテル近くの酒場にて、この辺りの名物の盛り合わせをちまちま楽しんでいた時、その言葉が聞こえてきた。
「なんでも、魔族がちょろちょろ現れているらしい。だから貴族や豪商どもは、我先にクーリガルドに保護の魔法をかけてもらいに行ってるとさ。おかげでこの辺りの馬車や馬なんかもほとんどない。ほんとやりにくいな。」
そうなんだ。それはちょっと厄介だな。
ギルドに顔出して交通の情報を確認しておかないと。
クーリガルド正教国は聖職者の国だけあって、そこには強力な力を持つ術者が多く存在している。
教会に行くと、武器や防具に防護や加護の強力な魔法をかけてもらうことができるのだ。
高いけど。
だいたい聖職者なんだろ?そこは奉仕の精神で無料でやってくれてもいいのに、と前に言ったらギルドのラーキンに怒られた記憶。
しかし、この先ドラゴンとの戦いが控えていることもあるし、既に加護がかけられている銀の剣はともかくとして、加護無しの防具やマントには、加護をかけておいてもらう必要がありそうだ。
……やっぱり高いけど。
今は大金持ってるから、ぱぱっと教会に課金しちゃうか。
だいたいこんな金、元の世界に持って帰れるわけじゃなし。ケチケチせずにぱーっと使わなきゃとは思ってるんだけど、なかなか勇気って出せないもんなんだな。
せいぜいここの串焼きセットの、並じゃなく上をオーダーできるくらいだ。
あーそういや、ゼミのあいつら元気かな。
今ならなんでも奢ってやれるのにな。
夜も更けゆく都会の酒場。
飲み物のおかわりを頼みながら、ふとそんなことを考えたりしていた。




