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賑わいを見せる通りのカフェテリア。
そこでお勧めの昼食を済ませた後、近くの店で見つけたかわいいお花の形をしたケーキと、猫用のオヤツを購入した。
これからユージンがしばらく世話になるんだ。日本人の俺としては、家主さんになんらかの土産を渡さなければとついつい思ってしまう。
まあ、あのほんわかしたおばあちゃんと、懐っこい猫たちに会いたいだけってのもあるけど。
優しい笑顔で迎えてくれた家主のミリアムさんに手土産を渡すと、彼女は子どものように無邪気に喜んでくれた。
彼女によると、ユージンは仕事で早朝から出かけていったとのこと。うーん、あの調子でちゃんと周りとやっていけるのだろうか…
ま、いいか。俺の心配することじゃない。
通されたのは、ミリアムさんの雰囲気にぴったりな上品で穏やかな応接間。
「さっそくいただきましょうね。」
俺の手土産のお菓子に、優しい香りの温かいお茶を添えてくれるミリアムさん。
ソファにはオヤツを食べたり、ひざの上や傍らで喉をゴロゴロ鳴らして寝転んでいる猫たちの姿。
こんな穏やかな時間、この世界に引きずりこまれてからは初めてのことだ。本当にここは本の中の世界なんだろうか?
俺の旅の話になり、これからクーリガルド聖教国の辺りまで行くと言うと、眉を下げて心配そうにしてくれるミリアムさん。
「まあまあ、そんな遠くまで行っちゃうの…大丈夫?ひとりで怖くないの?」
かわいいおばあちゃんだな。ほっこり。
ミリアムさんは、ふと、何か思いついたように語り出した。
「あのね、倉庫におじいさんが使っていた魔道具があるの。おじいさんが亡くなって、しまいこんでる物だけど、もしかしたらエイトさんが使えるものがあるかも知れないわ。」
「え、ご主人の魔道具ですか?」
「ええ、おじいさんは魔道士としてパーティーを組んでね、ずうっとあちこち旅をしていたの。その道具はとても使いやすいからと、いつもきれいに手入れしていたわ。私には使い方もよく分からない物だけど……どうかしら、見てくださる?」
当時を思い出したのか、目を閉じ、両手を胸に当てて、うふふと笑うミリアムさん。
「おじいさんはね、とっても旅が好きだったの。だからね、この道具たちがまた旅に出られるなら、本当に嬉しいことだと思うの。」
俺は彼女の好意に甘えて、倉庫にある道具を見せてもらった。
そこには魔石で使えるランプや魔導コンロ、使いやすい小型のナイフやテントなど―丁寧に磨かれ大事に使われていたことが分かる、旅の必需品が一式揃っていた。
「俺がこんな大切な物をお借りするなんて、本当にいいんでしょうか?」
「もちろんよ。エイトさん、うちのおじいさんをまた旅に連れていってあげてね。」
嬉しそうに話すミリアムさんの笑顔に胸が熱くなり、ちょっぴり涙ぐんでしまう俺だった。




